147秒音を聞き続けると、脳が自壊する。対策の為にプロテクターを着用し、人類が五感の1つを活用できなくなった世界。さらには、エネルギー生産設備の臨界を迎え、最悪の事態に備えているタイミング。そんな最後の日に、約束を交わした彼女と、ピアノの弾く話。静謐な世界で奏でられる演奏は、震えていようと、極上のものだったでしょう。あらすじに曰く、「世界一美しい自殺」。その謳い文句に偽りは無く、音が、読んでいるこちらにまで響くようでした。
『人類は音を聞くことができない』物語の最初から、ちょっとした違和感があった。まるで、何かを試されているような。五感のうちの一つである聴覚を奪われた人類。冒頭の言葉を借りれば、『147秒以上音…続きを読む
147秒以上、音を聴き続けると死んでしまう世界。その中で少年と少女がピアノを媒介にして紡がれる青春小説。私達の周りに普遍的に存在する音を題材に、もしも?の世界を構築した新しさ。独特の感性を持った…続きを読む
音が聴こえる。小説の、無機質な文字列のあいまから、満ちた雫が溢れるように音が流れだし、確かに鼓膜に触れたのです。ふたりの奏でる鍵盤の共奏が。美しい彼女の囁きが。いろあざやかな調べをもって、この胸に…続きを読む
ぜひ最後まで読んでいただきたい作品です。おそらく、もう一度読み返したくなると思います。少なくとも、自分は自然と読み返していました。小説ならではの表現と演出、非常に読み応えがありました。
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