聴けば聴くほど馴染む音楽のようだった

音が聴けば死ぬという極端な世界のキャッチ―さと、読み進めれば進むほど明らかにされていく謎が読者をわくわくさせて飽きさせない。

さらにわかりそうでわからない登場人物の会話がより読者を引き込む。

そして、fin.という文字を見たとき、何とも言えない読後感に、その世界をもっと理解したくて、冒頭に戻ってしまう。伏線を確認したくなり、一行一行を一度目よりも注意深く追ってしまう。そうしてまた冒頭に戻ってくる。fin.がループボタンの役割を担っている。

まさに聴けば聴くほど好きになっていく音楽のような、再可読性を持った小説でした。

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