対談風『今はまだ「人の心がある」と主張してますけど。』
涼暮皐
担当編集×作者対談(ネタバレなし前編)
【担当(以下、担)】
なんか
ここらでしっかり腹を割って話して、
【涼暮(以下、涼)】
はあ……。
【担】
あわよくば「本当に人の心がないのは
【涼】
はい?
【担】
なので、ちょうど良いタイミングですし、今後に向けて、「おさいも」のキャラクターの話とか、魅力の話とかできればと思います。僕の人の心を証明するために。
【涼】
なるほど、わかりました。意味がわかりません。
【担】
わかってもらえないところからスタートしてる時点でちょっと自分の「人の心」に自信なくなってきた……
【涼】
その自信、どうかそのまま永久に失っていてくださいね。
【担】
まぁいいや、まずは
【涼】
よくないけど……まあ、はい。メインヒロインですからね。筆頭人の心です。
【担】
筆頭人の心っていう割には、主人公からの扱いが最初完全に「犬」ですよね……
【涼】
でも、かわいくないですか、犬。
尻尾振りながらずっと後ろをついて来るんですよ、犬。
愛らしいじゃないですか、犬。
【担】
その可愛い犬なはずの
【涼】
いや、犬のほうから来てますからね。責任は犬側にありますよ。むしろ毎回、律儀に構ってあげてる
【担】
【涼】
いや、犬で話を進めてきたの担当氏なんですけど。酷くない、じゃない。
【担】
でも
【涼】
ぐいぐい来る後輩はホラーですからね。いきなり家の場所を突き止めて現れたら、それはもう現実的に考えて恐怖ですよ。
【担】
「恐怖! 自宅を特定して毎朝迎えに来る小悪魔は実在した!」が本作のスタートですからね。
【涼】
まあ最初から知ってたので一応セーフ判定ですが。それを思えば、
【担】
朝6時半に押しかけられてもきちんと家に入れてあげる
【涼】
やってることホラーでも、まあかわいい後輩に懐かれてる分にはいいか、みたいな……そういう譲歩があるわけですよ。
【担】
ただ、
【涼】
聖人は痛い目見るはずなのにって何。ぼくがいつそんなことをしましたか。
【担】
えぇ……(困惑)
まぁでも間違いなく
【涼】
無限に幸せじゃないですか。割と。
【担】
【涼】
別に
むしろ
【担】
いいカップリングだ……
【涼】
あとはふたりの間のことなので、ぼくが口を挟むことではありません……。
【担】
【涼】
担当氏が口を挟んだら不幸が増すだけでは……?
【担】
いえいえ、ちゃんと幸福度も120%増しにしますよ!
【涼】
「も」じゃん。
【担】
まぁ幸福度を演出するためには、時に不幸も必要ですが。
【涼】
ほら。
【担】
【涼】
露骨に話を反らしましたね。
【担】
そろそろ
【涼】
【担】
【涼】
めっちゃ嫌われそうな気がして怖かったですけどね。
【担】
原稿読んだ直後の打ち合わせでも言ってましたね。確かに、
でも、彼が持っている芯、絶対にぶれない考え方の部分は、本編を読み進めるにつれてどんどん説得力が上がっていって、読み終えたときには「
【涼】
芯がないと
【担】
【涼】
押してダメならもっと押しますが、押してイケたら飽きますよ、あの女。
【担】
めっちゃ説得力ありますけど、メインヒロインを「あの女」よばわりする著者初めて見ましたよ……
【涼】
ちょっと
積極的にがんばる女の子には、ただ流されたり逆に拒否ったりするだけじゃなく、壁は作った上でそれなりに構ってあげる主人公が合うんですよ。ぼくの中で。
【担】
二人の会話劇、もともと「盛ってください」とオーダーしたとはいえ、リズムもよく走るような感じだったので、
それにしても、「それなりに構ってあげる」ってまさに犬と飼い主の関係ですね
【涼】
【担】
そう聞くと、
【涼】
飼い主だって、ペットがかわいいから飼ってるわけじゃないですか。
【担】
【涼】
いや飼ってませんけど。
【担】
将来的には飼うのでは……?
【涼】
あんまり女の子に失礼なこと言わないでくださいよ。畏れ多くもメインヒロインですよ。そういうこと言ってるから人の心がないってバレるんですよ。せめて社会性の皮を被ってくださいよ。
【担】
社会性の皮を集めた人間ですよ僕は。
【涼】
ちょっと何言ってるかわかんないですけど……どっちにしろ涙の生みの親なのでは?
まあ、飼う飼わないの話で言うと、
【担】
やっぱり!
【涼】
あの男は理屈に弱いので、これこれこういう理由でいっしょに来てほしいとか頼まれれば断れないんですよ。
【担】
【涼】
しかも一見理屈っぽかったら無茶苦茶言ってても納得しますからね。
【担】
確かに、一見
【涼】
「いっしょにお弁当食べましょう」は断りますが、「わたしは
【担】
ちょろ男だ。
【涼】
一巻だと最初まだ、
あいつ、基本的に罪悪感塗れで生きてますからね。その分、できる限り、他人に譲歩しようとする性質があるので……。
【担】
つまり2巻からは
タイトルも「今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。」から「今はまだ「姉の幼馴染」だけど。」に変えます?
【涼】
いや絶対変えませんけど。でも、
【担】
絶対に他人に越えさせないラインをきちんと持っていて、そこを基準に他人との距離感を調整してますよね。基本的には全員遠ざけてますが。
【涼】
【担】
常に周りに申し訳ないと思ってるところ、ちょっとシンパシー感じますね。
【涼】
「近づかれたら冷たい態度を取るしかないので、できれば近づかないでほしいな」と思っているし、それでも近づいてくる人には実際めちゃんこ甘い。
【担】
そこが
【涼】
何言われようと絶対譲らないところは本当に譲らない男でもありますからね。
【担】
【涼】
【担】
【涼】
【担】
あとは「ほっとくし、ほっとかれたい」みたいな感覚が根っこにあるあたりにも、ちょっとシンパシー感じます。
【涼】
人類は担当氏にシンパシー感じないと思いますけど。
【担】
ちょっとまって、人類まで広げました今? ひどくない?
【涼】
人の心があるかどうかの話なので、枠が人類でもおかしくないでしょう。
【担】
【涼】
某.net程度、担当氏と比べたらかわいいもんですよ。社会において本当に怖いのは単純暴力じゃない。
【担】
【涼】
他人の
【担】
あ、でもラスト周辺で、
【涼】
いいんですよ、そんな無理しなくて。
【担】
無理してないですし! あのシーンこそ
【涼】
いいんですよ、そんな無理(して人間のフリ)しなくて。
【担】
できますし。無理してないですし。私の仕事は人を楽しませることなんですが……?
【涼】
プログラムに支配されるロボットみたいなこと言い出した……。じゃあもう、無理せずとも人間のフリはできるってことでいいです。
【担】
いろんな枠組みや関係性の支配を受けながらも、精一杯等身大で頑張る
【涼】
まあ言ってみれば一巻の間、
【担】
ですよね、それが全部剥がれてはじけて、そしてエピローグでもう一度
【涼】
そうですね。笑顔ですね。……エピローグまでは。
――後編に続く。
対談風『今はまだ「人の心がある」と主張してますけど。』 涼暮皐 @kuroshira
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