百首揃え
上山流季
百首揃え
「百物語って知ってるか? 夜中に怪談を百個話して、そのたびに蝋燭を消していくアレだ。アレは大体『人間側』がやることだよな? だって、
「でもよ、発想としてはかなりイイと思わないか? 俺は思った。そこで考えたのが、怪異版百物語、その名も『
「自慢の内容はぶっちゃけなんでもいい。たとえば、殺した人間のこれまでの人生についてを事細かに調べて発表し、お涙頂戴を誘うやつなんかもいる。
「他に、こんなやつもいた。まぁ、怪異の中にも人間と仲の良いやつってのは一定数いるんだがな? その怪異と仲良くしていた中学生のガキが、学校でいじめにあっていたそうなんだ。自分と仲良く遊んでくれる『友達』に酷いことをするような人間なんて、許せたもんじゃないだろ? だから
「逆に、大層笑ったのは酔っぱらって首を持ってきたやつだ。適当な首を斬ってみたらその首が2つに増えたと大騒ぎで
「ここで少し話を戻すが、本家の『百物語』では怪談をすべて話し蝋燭を消し終わると、実際に『ホンモノの怪異』が出るんだ。知ってたか? ……まぁ、百まで話しちゃ駄目なんだけどな、本当は。だって
「さて、『百物語』完遂で
「是非とも、百の首を揃え最後を確かめようじゃあないか、と――」
「もう、詳しく説明しなくてもわかると思うがあんたがその百個目の首だ。椅子に縛ったり口にタオルを噛ませたりしてすまなかった。つまり、あんたを取り囲んでいる
別れの言葉と同時に、あなたの視界はゴトリと音を立てて地面へと転がった。
不思議と痛みはなかった。ただ――ひとつの予感がある。
あなたの赤い血はあなたの身体を伝い椅子を伝い地面に広がり次第に端から黒ずんでゆく。彼らの
あなたには予感がある。彼らはこのあと、流れし血より生まれ出ずる新たな怪異――百首揃えの
なぜなら、凄惨な死を遂げたあなたの血を、これまで刈られたてきた首たちの無念を、百年も積み重ねたのだ。この
あなたには予感があり――それはほとんど確信だった。
だってあなたは、死に変わり生まれ落ちたばかりの百の首を持つ
百首揃え――その饗宴は
百首揃え 上山流季 @kamiyama_4S
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます