第2話 もし人間が栄養生殖だったら

 子供が欲しい、田中ユウはふっとそう思いました。

「よし、食うか」

 ユウはコンビニで大量のお菓子を買い込んで、それをずっと食べてました。

 ユウは頭の中で、自分の右腕に栄養が詰まる様にイメージしました。そのイメージに合わせてホルモンが働き、ユウの右腕はどんどんと太っていきます。

 右腕を太らせないと、子供を作ることはできません。

 とりあえず、自販機でコーラを五十本買いました。

 お隣のおばさんが「あら、ユウくんも子供を作るのね」といったので「はい」と返事しておきました。

 実際、子供が欲しくなると人類はこうやっていろいろなものを食べて腕を太らせます。

 学校に行くと、みんながユウの右腕を見ます。

「おいおい、ユウ。お前もう子供を作るのか」

「ませてるねー」

「やべー、ユウが大人の階段を上ってやがる!」

 みんながやんややんやと騒ぐ中、ユウはひたすら授業中もお菓子やコーラ、野菜ジュースやフルーツジュースなどを飲んでます。

 一か月くらいすると、ユウの腕は長さが1.5倍くらいに、太さは4倍くらいに成長しました。

「……あ、腕が動き出した」

 裕は、ついに栄養生殖の準備ができたことを察します。

 まず、ユウは服を脱いででっぷり太った右腕をつかみます。


「そぉいっ!」


 叫び声と共に、左腕で見食いでを引っこ抜きます。ぶちっという音と共にユウの右腕は外れます。血は出ていません。もうすでに、組織的には殆ど分裂していたからです。

「えっと……」

 ユウはそれを地面に突き刺しました。

「……うん、これでいいや」

 こうして、ユウは腕がすくすく育って子供になるのを待ちます。

 こうやって、人類は増えていくのです。



          了

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