第4話 もし人間が多重存在だったら

 太郎君は三次元の存在です。

 しかしながら、太郎君の存在を四次元軸の目線から見ると太郎君は四次元軸上に連続的に存在することになります。

 もし太郎君が特定の四次元軸から消えてしまったら、四次元軸上の連続性を保つために再び太郎君が現れます。

 太郎君は定義としてはX=n,Y=m,Z=o(n,m,oは全て正の数)の世界で生きていますが、そこに四次元軸を加えるとα=1の太郎君α=2の太郎君など、高位次元に多数の太郎君が存在しています。

 太郎君は自分と同じ軸上にいる太郎君によってグラフとしての存在を担保されているのです。

 もしもこのα=1の場所で太郎君が死んだら、α=s(sは有理数)のグラフは断裂してしまい、太郎君という存在は存在できなくなります。

 それを防ぐために、いついかなる時でもグラフ上から太郎君が消えた場合、四次元の領域から太郎君が補充されるのです。

 人間が無性生殖ができるのは、そういうことなのです。



          了

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る