このレビューは小説のネタバレを含みます。 全文を読む（94文字）

傷は決して消えない。はじめては一度きりだし、取り戻せない。

だけど、それでも信じたい。愛する人の優しい手が、どうしようもなく傷ついた彼女を救ってくれることを。

読後、私の心にも一条の傷が残った。しばらくは消えないだろうと思う。衝撃的だった。

　かつて尊続殺重罰規定なる法律が実在した。簡単にいえば、自分の親や祖父母を殺害した際通常の殺人事件より重く罰せられるという内容である。
　現在は完全に撤廃されたこの規定、見直しのきっかけとなったのはある女性が実父に起こした殺人事件であった。
　彼女は実父から性的虐待を受け続け、親娘で子供まで出産させられていた。その彼女に恋人ができ、激怒した実父は彼女を更に虐待した為、追い詰められた彼女は殺害のやむなきに至った。
　これはフィクションではない。れっきとした実話である。繰り返す、れっきとした実話である。
　さて、本作では主人公の境遇が大きな関心を引き寄せる。具体的な成り行きや結末は、実際に読んで頂くのが早いだろう。
　必読本作。　

なかなか壮絶な境遇の主人公。
その境遇ゆえに、普通とは違うロジックの中で生きています。
そんな彼女を突き放さずに『普通』を教えてくれた宗馬。
宗馬との出会いが彼女を変えていきます。

重たいテーマですが、良い方向に変わっていく主人公の姿に救われた気持ちです。

悲しいことがあっても一緒に居てくれる人がいれば頑張れる！　そんな気持ちにさせてくれる物語でした。

自分が異常だって、初めは分からない。でも、他者と比べていくうちに、肩に「異常者」の3文字が重くのしかかる。それを嫌悪し、自らを恨み、親を恨むこともあるだろう。それを「仕方ない」で片付けずに、支えてくれる第三者の登場は、物語のご都合主義かもしれない。でも、私は救われた気がする。
あなたは、この作品に感動せざるを得ない

当たり前でない現実を「当たり前」と思い込んで生きてきた主人公の少女。
あるきっかけで、彼女は同じ学校のある男子と接点を持ちます。
その少年との関わりの中で、彼女は自分自身の「異常」に気づき始め——。

強制的に教え込まれた行為を受け入れる以外になかった少女の心の奥の純真さ、清らかさ。
そして、その清らかさをしっかりと受け止めた少年の強さ、清らかさ。
「身体にもたらされた出来事」と「心」は無関係な… 続きを読む

まあ苦しいですよこのストーリーは。でもそれも恋愛なんですね、人生なんですよ。
最後の変化によってこの子は変わり切れたのでしょうか、それとも変わりきれるという概念そのものが間違っているのでしょうか。
人は変わるものです。変わっていくものです。