青春のあとさき

夢ってなんのためにあるんだろう。
叶えるため?
じゃあ、叶わなかった夢の数々は?

恋ってなんのためにするんだろう。
結ばれるため?
じゃあ、別れてしまったかつての恋人は?

君の足元に粉々に砕け散っているそれは、いつか見た君の夢かい?
それとも恋人との思い出かい?

我々の周りに、当たり前に在る、そう言う疑問の数々。
いったいどれほどの人が答えてくれただろうか。
大人は、先生は、先輩は、答えてくれただろうか。
叶わない夢と結ばれない恋の意味を。

もしもそれらのすべてが、無意味なのだとしたら、果たして青春とはなんのためにあるのだろう。
我々が青春と感じているそれは、実は空虚の正体なのかも知れない。

と。

そう、思っているね?
だから君の周りには残骸ばかりだ。

さて、これから君には魔法がかかる。
なに。簡単だ。
ただこの作品のページを捲ればいい。
ただそれだけでいい。
するとどうだろう。
君の周りに在ったその残骸どもがにわかに色づき始める。
灰色だったそれらすべてが、かつての色を取り戻す。
バラバラだったパーツが浮かび上がる。
一点に向かって集まり始める。
シャラシャラと、スネアドラムの裏側を撫でたときに出るあの音共に、かつての形を成し始める。
今一度現れた夢と思い出。
戻れぬ青春の日々そのすべて。
それをもう一度粉々に打ち砕くのか、或いは抱きしめるのかは君次第だ。

——おっと、待って。

読み終わってからだ。
読み終わったら必ず、今とは違う答えが胸に在るから。
そういう、希望と温かさと爽やかさと切なさを兼ね備えた物語だ。

確かめてみて。

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