青春のあとさき
- ★★★ Excellent!!!
夢ってなんのためにあるんだろう。
叶えるため?
じゃあ、叶わなかった夢の数々は?
恋ってなんのためにするんだろう。
結ばれるため?
じゃあ、別れてしまったかつての恋人は?
君の足元に粉々に砕け散っているそれは、いつか見た君の夢かい?
それとも恋人との思い出かい?
我々の周りに、当たり前に在る、そう言う疑問の数々。
いったいどれほどの人が答えてくれただろうか。
大人は、先生は、先輩は、答えてくれただろうか。
叶わない夢と結ばれない恋の意味を。
もしもそれらのすべてが、無意味なのだとしたら、果たして青春とはなんのためにあるのだろう。
我々が青春と感じているそれは、実は空虚の正体なのかも知れない。
と。
そう、思っているね?
だから君の周りには残骸ばかりだ。
さて、これから君には魔法がかかる。
なに。簡単だ。
ただこの作品のページを捲ればいい。
ただそれだけでいい。
するとどうだろう。
君の周りに在ったその残骸どもがにわかに色づき始める。
灰色だったそれらすべてが、かつての色を取り戻す。
バラバラだったパーツが浮かび上がる。
一点に向かって集まり始める。
シャラシャラと、スネアドラムの裏側を撫でたときに出るあの音共に、かつての形を成し始める。
今一度現れた夢と思い出。
戻れぬ青春の日々そのすべて。
それをもう一度粉々に打ち砕くのか、或いは抱きしめるのかは君次第だ。
——おっと、待って。
読み終わってからだ。
読み終わったら必ず、今とは違う答えが胸に在るから。
そういう、希望と温かさと爽やかさと切なさを兼ね備えた物語だ。
確かめてみて。