人間性の追求

 かつて某漫画で「シリアスな笑い」という表現軸が示されましたが、本作のおかしみはそこにあるのかもしれません。
 全くの合理性に基づいて行動できる情報生命体が、無駄と不合理に満ちた人間の一行動である年越しを模倣し、いちいち年越しに関する無駄と不合理を真剣に考察することにおかしみがあると言えましょう。

 そして、その無駄と不合理の積み重ねの先に、美しいものがあるのだとすれば、それは人間である読者にとっても、福音を意味するのではないでしょうか。

 美しい掌編でした。
 私はそう思います。

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