変わり者の美咲は、主人公の高校時代からの友達。大学でも一緒。特に美咲は友達がほとんどいないので、主人公といることが必然多くなる。
でも、美咲は孤独で可哀想な感じは全くなく、むしろ日常を破壊して回る変人なのです。
空き缶をピラミッドにしてみたり、紙吹雪を大量に作ってマンションの上階から散らして騒動を起こしたり。
主人公はあくまで友達なのですが、その立ち位置がグッと来ます。まずは友達。あるいは美咲が騒動を起こすときの仲間。美咲がいる世界の周縁をうろうろしているなーと思っていると、ラストで全てが明らかになり、溶け合って、すっきり解決するのです。
これは就職活動期の青年のモラトリアムな日常とその終焉の話。ずっと今のままでいたいけれど抜け出したい気もする、一歩進みたい、という人には絶対に楽しめる作品です。
モンスターも騎士も魔法使いも出てこない作品で、むしろ現実を直視する(できるようになる)話ですが、現実のあれこれに向き合いたい、という方はちょっと3話くらい読んでみてください。きっとすっきりするはずです。