矢部嵩ファンにおすすめ。何故なら本人の短編集だから。

 保健室登校、魔女の子供はやってこない、〔少女庭国〕などの鮮烈な傑作で、根強いファンを有する矢部嵩であるが(無論私も大ファンである)、非常に残念なことに寡作な上、現在彼の書籍を入手することはなかなか難しい(電子書籍なら買える)。

 そこで、本作は、新作を待ち望む矢部嵩ファンにとっても、矢部嵩を読んでみたかった初心者にも、間違いなく福音となる公開である。
 矢部嵩歴の新旧問わず、あの過去形に終始した文体、狂気と異常とグロテスクが常態化した世界観をなんと無料で堪能できるのである。
 その数、現時点においてなんと28作。もはや一冊の本にして売ってくれという気分だ。

 諸君、この福音を言祝ぐがよろしい。そして、矢部嵩の世界に溺れるがよろしい。

 ちなみに、〔少女庭国〕が2019年6月下旬に文庫化されるらしいので、発売されたらみんなで買おうな。私は買う。
 

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