「苦労に耐えること」が、本当に幸せを招くのか?

現代の日本社会の抱える問題を、柔らかな筆致でジワリと訴える物語です。

苦労に耐えろ。常に自分自身に厳しく、そして決して逃げるな。
日本の文化には、こういう姿勢を美徳とする意識が今なお強い力を持ち続けている気がします。
例えば——心も体も擦り減らし、身を粉にして働く。それこそが立派な大人であり、社会人。
でも、果たしてそれは、真実でしょうか。
一番大切なものは、何か。本当に、仕事や会社に心身を捧げることでしょうか?

この物語は、その問いの答えを、暖かく諭すように教えてくれます。

うっかりすると、日本に根強く残るその「美徳」は、それに従う個人からの視点で捉えれば、「本末転倒」そのものかもしれません。

自分にとって、本当に大切なこと。それを見失わずに、自分の人生を幸せで満たす。
そのためには、「苦労から逃げる勇気」を持つことも必要だ——そんなことを温かく教えてくれる、奥の深い物語です。

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