俺達の証明

作者 ささやか

76

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★★★ Excellent!!!

犯罪者をバットで処刑する仕事(公務)に従事する男の日常の物語。あるいは独白。
とにかく重い。いや重くはないけど閉塞感というか無力感というか、きっと現代社会にも通底する類のそういう〝しんどさ〟のようなものを、文章越しにポイポイ投げてきてくれるお話です。大事なのはこのポイポイで、グサグサでもゴリゴリでもなくあくまでポイポイ、何の気なしに軽く(でも大量に)投げつけてくるような、この独特の感覚が癖になります。
どこか冷笑的な側面はあれど、でも語り口そのものはあくまで軽く。なのに終盤近くまで読み進める頃には、なんだか石の中に生き埋めにされたような気分になる。
世代や環境にもよるのでしょうけれど、でもそれなりに多くの人が感じているであろう、〝この先〟に対する漠とした不安のようなもの。それをそのまま、くっきりと実体化させてしまったようなお話。
結末はきっと気持ちよくも読めるのですけれど、でもいざ目線を自分の足元に向けると、まだ怖い。
果たして、急に画面の向こうから転がり落ちてきたそれに、自分は顔をくしゃくしゃにして笑えただろうか?
なんだか鏡の中のグロテスクな化け物を見せつけられたような、それでもその背の向こうに晴れ空を見つけたかのような。自分の足元さえ見なければ空だけは晴れているかのような、そんな綺麗で胃に悪い結びが最高に好きです。

★★★ Excellent!!!

一話目の後半から、この作者さん特有の特異な設定がぱっと飛び出し、一気に引き込まれました。
こんなゴミクズみたいな世界じゃ誰も幸せになれない、でも皆が皆常時ひどい人間なわけではないし、世界も常にゴミクズではない。でも、やっぱり世界はどうしようもない。
このラストをどうとらえるかは読み手に委ねられているところが強いと思いますが、とてもおすすめしたい作品です。
殴り殺すか手を振り返すか、どちらかを選んでください。

★★★ Excellent!!!

 後半のワンシーンが胸に刺さって取れません。
 顔の知らない、話したことのない、たったいま会ったばかりの他人同士。それでもお互いが「そこにいる」ことだけは間違いない。空っぽでも、無意味でも、互いの存在を認め合って、それが小さな「生きている」という実感に繋がるのでしょう。思うに、人生はそんな小さな繋がりの連続です。もし孤独でなければ、そんなちっぽけなつながりにすら尊さを覚えることは無かったでしょう。
 不思議と励まされるような、強いメッセージ性を感じました。面白かったです!