里帰りの傾向と対策

近未来の日本。子供は親の注ぐ愛情を黙殺し、か細く脆弱になった絆は理由もなく容易に断ち切れた。子供は時代が提供する娯楽と享楽の奔流にのまれ、親との距離は際限なく広がっていった。ハルトもまた例外ではなかった。ごく普通の家庭に生まれ、ごく普通の環境で育ち、ごく普通に親を見失った。ハルトは恋人さくらに諭され、自分と両親について見つめ直す。結果、自分の親子関係が特別異状であるとは思えなかったが、あるべき姿にないことも認識できた。そして親子の絆を紡ぎ直すべく、帰省を決意する。しかし両親の人となりの一切を思い出せず、正常な親子関係がどういったものかもわからないハルトにとって、両親との面会は不安との戦いだった。そんなハルトに希望の光が差す！
主人公年齢・29歳　朝読小説賞キャッチ：親の顔が思い出せない。そんな大人の里帰り。