1.終わりの始まり
その①
この世界での私は
ちなみに美形家族だ。そしてこのハインツ家は王家と
その
そんなある日、お父様とお母様が私とお兄様を見ながら話をしていた。
「レイラ、私達の子どもはまるで天使のように愛らしいな」
「ええ、本当にそうですわね」
「特にセシリアの
(いやいやそこまで言わなくても……)
「これならきっとセシリアが十七歳の時におこなわれるご
(……え? 『天空の乙女』? ……どこかで聞いたことがあるような……)
「それにこの可愛さなら、セシリアの一つ年上で年齢もちょうどいいカイゼル王子の
「父様! 僕の可愛いセシリアに婚約者なんて必要ないよ!」
お兄様はお父様を
しかし私はそれよりもお父様の言葉がどうも引っかかっていたのである。
(……『カイゼル王子』? あれ? これもどこかで……んん!? 『天空の乙女』に『カイゼル王子』……ま、まさか……)
ある考えが頭に
「お、おとうしゃま……ちょとおききちたいのでしゅが……このくにのおなまえってなんでしゅか?」
「ん? 国の名前? 『ベイゼルム王国』だが、それがどうかしたのかい?」
不思議そうな顔でお父様は私を見てきたが、そんなことを気にしている場合ではないのだ。
(『天空の乙女』『カイゼル王子』『ベイゼルム王国』…………『セシリア』……も、もしかしなくてもここって、完全に私が前世でやっていた乙女ゲーム『
その事実に気がつき心の中で
数時間後、ふと目を覚ますと私は自分のベッドに寝かされていた。
私は
ランプを机の上に置き着席した私は、引き出しからお絵描き用にと大量に入れていた白い紙とペンを取り出し、おもむろに文字を書き始めた。
※『悠久の時を貴女と共に』の大まかなストーリー。
ベイゼルム王国では、数十年に一度『天空の乙女』という
ニーナは『天空の乙女』に選ばれたことで一年間王宮に住まうこととなり、そこで
そしてその攻略対象者の中にベイゼルム王国の第一王子『カイゼル王子』がいる。
さらに『カイゼル王子』には見た目は美少女だが
私はそこでペンを置き頭を
(うがぁぁぁ! 完全に私、この『悪役令嬢セシリア』じゃないか! 今ゲーム内の『セシリア』を思い出したけど
悪役令嬢というポジションにガックリとうなだれる。しかしすぐに私は顔を上げた。
(いや、まだ悲観するのは早い! そもそも私の大好きなキャラ、ニーナの恋愛を邪魔する気なんて全くないからさ。うん、私は
決意した私は再びペンを持つと、思い出せる限りのゲーム内容と攻略対象者の情報を書き出し、これからの対策を明け方近くまで考えたのである。
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