その②
翌日、さっそく私はお父様に
(よし、なんとか家庭教師をつけてもらえた! とりあえず処刑エンドを
※『対策案』
一、この世界の知識を得るため家庭教師をつけてもらう。
二、極力、攻略対象者達と関わらない。
三、ゲームのセシリアと同じ我儘な性格にならない。
四、カイゼル王子の婚約者にならない。
五、ニーナの恋を邪魔しない。
数日後、お父様は私のために一人の家庭教師を家に連れてきてくれた。
「セシリア、
デミトリアさんと呼ばれたその方は、背中で
(……お、王宮学術研究省!? 確かこの国トップクラスの機関で、
まさかの
「初めましてセシリア様。お父様のラインハルト様からお話は
「……デミトリアしぇんしぇい、おねがいちましゅ」
そうして私はデミトリア先生の授業を受けることとなったのだが――。
(いや~
その事実に気づき、私は複雑な気持ちで授業を受けていた。
だから出された問題も難なくこなすことができ、さらにまだひらがなであったが
そんな私の回答を見て、デミトリア先生は興奮した
「いや~本当に素晴らしいお
「いや、さすがにそれは……」
「ああそうでした。公爵家のご令嬢では難しいことでしたね。でも、もし機会があればご検討のほどお願いいたします」
「……わかりました。しかし王宮学術研究省に入るのであれば、ご子息の方が適任では?」
「もちろん
「そういえばご子息は神童と呼ばれるほどの秀才でしたね? 確かセシリアの一つ年上で四歳でしたかな?」
「はい。親の私が言うのもなんですが、あの子も大変優秀でして。ただ性格が少し……」
デミトリア先生は口を閉ざし困った表情をした。するとお父様も何かを思い出したのかそれ以上何も聞かなくなったのである。
私はその二人の会話を聞いて嫌な予感がした。
(四歳の時点で神童と呼ばれ、将来は王宮学術研究省を目指している秀才の男の子。だけど性格に問題あり……なんかこれに
すごく嫌な予感がしながら
「デミトリアしぇんしぇい……しぇんしぇいのおうちのおなまえってなんでしゅか?」
「え? ああそういえば名乗っていなかったですね。所長をしているとなんの役にも立たない家名を忘れてしまうようでして。
「ラ、ライゼント……デミトリアしぇんしぇいのむしゅこしゃまのおなまえは?」
「息子? 息子の名前は『シスラン・ライゼント』ですが?」
「!!」
デミトリア先生の息子の名前を聞いて
(や、やっぱり『シスラン・ライゼント』だった!)
※『シスラン・ライゼント』
攻略対象者の一人でゲーム上では十八歳。深緑の長髪を後ろで一つに結び切れ長の金色の瞳と銀縁の眼鏡が印象的な綺麗な顔立ちの男性。
四歳
しかし人付き合いが悪く自分より頭の悪い者と話すのを嫌い、仕方なく話す時は常に
だがニーナと
私は『シスラン』について書いた内容を思い出し、激しく
(うぎゃぁぁぁ! 早くも攻略対象者の関係者と接点ができるなんて! ……そりゃ、本音を言えば攻略キャラに実際会ってみたい気持ちはあるよ? だけどライバルキャラである私が関わらない方が、ニーナの恋愛は絶対スムーズにいくはず。それに……攻略キャラ達と接点がなければ私の処刑フラグも立たないと思うんだよね。だからこそ、ここでシスランの関係者と接点ができてしまうと困るんだよ!)
「どうしたのですセシリア様? あ、もしかして私の息子に会いたいのですか? それでしたら今度連れて……」
「いえ! けっこうでしゅ!!」
デミトリア先生が言い終える前に、必死の形相で食い気味に断りの言葉を叫んだのであった。
◆ ◆ ◆
あれからいろいろ考えた結果、デミトリア先生の教えを受け続けることにした私は、この国の歴史や他国の事情、さらにはこの世界の様々な情勢を知ることができた。
そして
そんなある日の夜、私は寝室でランプの明かりを
その紙とは私が三歳の時に書き記した、この世界『悠久の時を貴女と共に』の攻略対象者の情報である。
※『カイゼル・ロン・ベイゼルム』
王子という立場上、人当たりもよく常に王子様スマイルを
しかしその
自分に近づいてくる者は誰も信用せず、逆に利用できる者は利用していた。だがニーナと出会い、その
そうして最後ニーナと
ちなみにセシリアが王子と婚約することになった
私は自分で書いた内容を何度も読み返し大きなため息をついた。
(今思い出してもゲーム上のセシリアって性格悪いな?。親の権力使って婚約者の座を得るなんて……ニーナにも散々意地悪していたし、そりゃ王子もそんな婚約者より可愛くて優しいニーナを選ぶよね。まあ裏で、処刑まで用意
家族やハインツ家に仕える人々からの私に対する過度な
(そもそも精神年齢が二十七歳の私だったから、それらの甘やかしにも冷静な判断ができたし、むしろ逆にしっかりしなくてはと思えたけど、普通の純真
私は一人
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