第13話 あとがき

どんどん濁る


七色になる


私が私になるのはいつだろう


いつかの挨拶が

こだまして砕けて

永遠に帰ってこないこと


随分長く放っておいた返答

タイムリープで確かめる

誰も拾ってくれなかった恨み


知りたくなくて

感じたくなくて

君はまだ、

盗んだサーミスタを

必死で握りしめている


まだだ、まだだ

って泣きじゃくる


足りないんだよ

ずっと足りない

やめてもいいよ

もういいんだよ


操縦桿を手放した夜に

叩きつけた言葉たちで

私は私を守れるか


出口へ遡って

平行線を紡ぎ直して


うるさい体も

頓狂な朝も


どんどん濁る


七色になる

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