◇臙脂色のベスト
わたしは何しろ手先が不器用で、せいぜいがガーター編みでマフラーを編むくらいが精一杯。それも学生時代に一、二度編んだくらいで編み方すら今は覚えてない始末。
祖母も母も手先が器用で裁縫も得意だった。
小さい頃は、わたしの着るベストやセーターなど毛糸ものは祖母や母が編んでいた。
あれは幼稚園頃だったと思う。写真が残っている。その頃のお気に入りだったらしいのは
ケーブル編みのVネックで、ポイントに同色の毛糸で編んだ花が胸元についていて可愛らしかった。
この時期のわたしは頻繁に、この
幼稚園のお誕生会の写真でも、ショートケーキと飲み物のマグカップの前の、すまし顔のわたしが白いブラウスの上から、このベストを着ているから、かなり気に入っていたんだと思う。
さすがに、今ではこの時期のものは実家にあるアルバムの中の写真でしか残っていない。
だからこのベストも、祖母や母がまだ生きていた頃に、一緒にアルバムを見ながら話したことと、そこでの記憶なのだけれども。
それでも冬になって毛糸編みのものを、あちこちで見かけるようになると、ふと何か簡単なものでも編んでみたくなる。
思うだけでなかなか編めないのだけど、もう一度編む時は、あの臙脂色の毛糸を探してみたい。
ベストは無理でも、あの毛糸の小さな花を編んでブローチに出来ないかな、などと思ったりしている。
◇
【臙脂色】
えんじ色(えんじいろ、臙脂色)とは濃い紅色のことである。
【えんじ色の由来】
名前の由来は中国の紅花の一大産地である「燕支山(中国語版)」にちなみ、本来は紅花染めをこの名で呼んだ。
*****『Wikipedia』より引用
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