◇紅玉りんご

 で一番好きなのは?と聞かれたら、迷わずに「紅玉こうぎょく!」と答える。

 それくらい、昔から、この少し小ぶりで酸っぱい真紅しんく紅玉こうぎょくりんごが好き。


 元々、古くからあった品種なのに、甘みの強いりんごの方が好まれて、一時は本当に見かけなくなっていて悲しかった。


 それでも、その酸味と煮崩れしにくいことから、お菓子作りなどに一般でも需要が増えたようで、数年前からまた、スーパーでも見かけるようになった(一時は果物屋さんの店先に出ていたらラッキー!と焦って買うくらいだった)


 わたしはとにかく、このまさに『くれない』の『ぎょく』のような濃く深い紅色にも惹かれるし、なんといっても酸っぱさ。わたしの好きな甘酸っぱさなのだ。


 だから、ひと袋(もしくは、ひと山)で買ってきて、まずはそのまま綺麗に洗ってから、丸ごとかじる。


 そうそう、ってこの味だったよね。

 スッキリとした甘酸っぱさ。

 齧った後の歯型、少し黄みがかった果肉と、の真紅の対比。


 幼いあの日に祖母に手を引かれながら、山の家へと登って行く時。

 あのも皮は剥かれて半分にされていたけれど、やっぱりスッキリと甘酸っぱかった。


 いくつかを数日にわけて、ひとつずつ大切に丸齧りした後は、ジャムにしたり焼きりんごにしたり。

 紅玉の皮を一緒に煮て作るとジャムは真紅の色を少し優しくしたように色づいて、これもまた可愛らしい色で美味しい。


 わたしは砂糖は控えめにするから、早めに食べ切る。

 トーストに塗ったり、紅茶に入れたりして楽しみ尽くす。


 最初に丸ごとで食べているから、残りはあまり多くなくて、ひと袋の紅玉りんごは、あっという間に無くなってしまうのだけど。


 ◇


【真紅】

深紅(しんく)とも。濃い紅色のこと。または、真っ赤な色。

 *****『Wikipedia』より引用


【紅玉】

日本においては明治時代初めに導入された。第二次世界大戦後は甘みの強いリンゴに押されて生産量を大きく減らしたが、アップルパイなどの製菓用に根強い需要があるため再び生産量が増えている。


甘みと共に香り・酸味が強く、果肉は煮崩れしにくいため加工用に向いている。

 *****『Wikipedia』より引用

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る