突如として人類を襲う『冷たさ』——

 この現代、私たちは地球温暖化という問題に直面しています。
 徐々に海面がせりあがり、雪の降る回数も減りつつある。
 そんな中、この作品の世界は、私たちの世界と変わらない日常で、『寒さ』に突如として襲われるのです。

 日常が一瞬で非日常に変わる恐怖。
 生物を死へと追いやる暴力的な極寒。
 思わず息をつめてしまうような白い世界の風景。

 それら一つ一つの描写がほかの作品とは一線を画しており、まさに傑作としか言いようがありません。

 主人公を襲う深い絶望、一時の希望、そして再びの暗い絶望。
 描写力もさながら、ストーリーの展開はまさに圧巻の一言。

 現代であるはずなのに、まるで異世界のようなその空気感を、ぜひ感じてみてください。
 暑い夏も、寒い冬も、きっとあなたを真っ白な世界へと連れて行ってくれるはずです。

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