泣いてはならないという戒めは想像以上に奥深い☆

南九州一帯を舞台とした歴史もの……というには言葉が足りないです。古代の神話をイメージさせる不思議な力を駆使して、作者さまの筆力で限りなく史実に寄せてきた華麗なる歴史ファンタジーといったところでしょうか。

特に飛び抜けた主人公感のある人物がいないですが、どれも魅力溢れる描写で綴られているので、山育ちの面々・城持ちの大名一家・その他親戚縁者、きっとお好みの人物を推しに挙げることができるかと思います。愛宕は伊吉という男の子の成長を見守りながら読み進めていました。純真な心を持つが故の無鉄砲ぶりが好きでした。

読み進めていくと、少しずつファンタジーの香りが漂ってきますが、和のテイストが満載で新鮮な感じを得られるはずです。タイトルの「けして泣いてはならぬ」にある理由を考えていくと、南九州で拡がった神話と文化に触れているようで、読み終えた後は「ちょっと薩摩や日向の世界にもっと興味を持ってみようかしら」と思うこと間違いなしでしょう☆

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