これは名もなき少年の、愛と再生の物語だ。

 少年は番号を与えられ、戦場で仲間と一緒に戦っていた。そんな少年のもとに、一人の少女が現れ、死神だと名乗る。しかも生きている人間から死者への手紙をやり取りするのが、死神の役目だという。
 少年は少女のような死神になるために、名前をもらい、様々な人々の想いを天に届ける旅に出る。死者に手紙を出したければ、死神の切手を舐めろ。便箋は特別なものだ。そして、一通の手紙につき、一年分の寿命をもらう。返事が返ってくる保証はない。それでもいいなら、手紙を出せ。もしも空の向こうの宛先人が、君を愛しているなら、きっと手紙は届く。返事もきっと帰ってくる。
 様々な境遇の様々な思いを秘めた人々関り、少年は人間の愛を知っていく。
 しかしある日、少女は少年の前から忽然と姿を消した。
 それは少年への試練だった。
 少年と少女の旅の行く末は――?

 亡くなった方を想う手紙がつなぐ、魂の再生の物語。
 最後には感動が待っている。

 是非、御一読下さい!

夷也荊さんの他のおすすめレビュー1,168