「自他称」講座

ごきげんよう、崔浩である。


どうでもいい話であるが、

「諡」講座を

「トリビア」講座に改めたるは、

実はこちらの情報を

頂いたがゆえであった。


「自称」「呼称」である。


自分を、他者を、どのように呼ぶか。

このバリエーションが増えると、楽しい。

そして、それっぽい。


これを頂かぬわけにはゆかぬであろう。



そちらの情報を頂戴できたのは、


〔109年最新版,鐵路上榜必讀〕

超級犯規!國文高分關鍵的七堂課

[鐵路特考/佐級]

〔贈讀書計畫表、線上學習診斷測驗〕

http://www.chienhua.com.tw/BookStore/BookDetail.aspx?BookID=19117


より、である。

詳細はよくわからぬが、

台湾の鉄道に絡む

試験問題対策書のようである。



前置きはこのくらいとし、

さっそく内容を見て参ろう。


なお同書には「どの時代の呼称か」

までは記されておらぬ。

大雑把な歴史的呼称、

自称であることにご留意いただきたい。



○自称

基本的には謙譲の意味合いが込められている。


・自分の名で自分を呼ぶ。

→本来自らの名を示す字を用いるのは

 避けるべきであるところを、

 みずから犯すことによって謙る。


・皇帝の自称

 孤

 寡

 寡人

 不穀


・官僚や知識人の自称

 不敏

 不才

 不佞

 不肖

 愚


・一般人

 愚

 鄙

 敝

 窺

 蒙

 拙

 不肖

 不才

 不佞


・身分の低い官僚

 下官

 末官

 小吏


・男性

 臣

 僕

 小人

 弟子

 在下

 賤

 奴家

 

・女性

 奴家

 妾

 婢



○他称(敬称)


・皇帝に対して

 大王

 万歳

 万歳爺

 今上

 皇上

 聖人

 聖上

 聖駕

 聖主

 天子

 陛下

 年号(特に明代以降の一代一年号時代の皇帝に対し)


・皇太子に対して

 殿下


・将軍に対して

 麾下

 節下


・官僚に対して

 閣下

 官職名

 従事任地名

 諡号


・司法官

 堂上


・君子から臣下へ

 卿

 愛卿


・目上の官僚

 節下


・一般人

 大駕

 台端

 左右

 閣下

 足下

 君

 令

 尊

 賢

 あざな

 号



○他称(賤称)


・未熟者に対して

 汝

 竪子

 小子


・北土人の南方人に対する古来の蔑称

 蛮子


・男奴隷に対して

 臧


・女奴隷に対して

 獲


・文弱の徒に対して

 鯫生


・野蛮な振る舞いをする者に対して

 獠子


・蛮族に対して

 蛮夷戎狄



○他称(小説や戯曲で見られるもの)


・姑娘

 嫁入り前の娘

 妾

 芸者や娼婦


・老爺

 昔の官僚

 召使いから主人に対して

 妻子が亭主に向けて


・員外

 富豪に向けて


・待詔

 腕利きの職人に対して


・郎中

 他者の召使いへの敬称

 医師


・仵作

 葬儀にまつわる従事者


・行人

 使者

 人と人との間を取り持つ人


・相公

 古来の婦女が亭主を呼ぶ尊称

 博識な人に対して

 年若き男性俳優、あるいは男娼。


・官人

 妻子の亭主への尊称。

 男性への尊称。

 奴隷が主人を呼ぶ。


・小官人

 年若き男性への尊称。


・小生

 文士の謙譲的自称。


・伴当

 旅路に引き連れる従僕あるいは友人。


・小二

 旅館や飲食店の従業員。


・当家

 成人への尊称。


・酒生児

 酒場の主人、もしくは従業員。


・帳房

 金銭の出納管理に携わる人。


・掌櫃

 商店の商売人。


・媽媽

 母親。

 老婆。

 長らく連れ添った妻。

 娼館の女主人。

 女奴隷の女主人への呼称。

 祖母に対して。


・渾家

 妻子に対して。


・娘子

 妻子に向けて。

 女子への、やや蔑称。

 いにしえの女奴隷が女主人に向けて。


・媳婦

 子供の妻子。

 妻子。

 婦人の謙譲的自称。


・安人

 夫人に対しての尊称。




以上である。

これらを小説内で用いると、

それっぽい雰囲気を演出できて

よさそうであるな。


それでは、また。

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崔浩先生の「魏晋南北雑学」講座 ヘツポツ斎 @s8ooo

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