第2話、魔王討伐

えっ?」




思わず自分の口から驚きの声が漏れた。






さっきまでゲームしてたのに‥‥


手にはスマホがあったはずなのに血だらけの剣に代わってて‥‥


目の前で人が死んでる‥‥






心臓が何度も鼓動する。


カラン、と剣を手放し、右手で思わず心臓の辺りをぎゅっと抑える。




呼吸は息を吸うことしかせず、苦しいのに息を吐くことが出来なくなっていた。


苦しい、苦しい、苦しい。




「何パニクってんだ、このスットコドッコイ!!」




そう聞こえたときには、ドスっと後ろから叩かれ思わず、「うげっ」とか言って倒れる俺。




「っ、いってー」




何が起きたか分からないまま振り返ると、そこには紅い鎧に身を纏った金髪の少女が仁王立ちでドンと立っていた。




「リーサ、魔王討伐した英雄を殴ったらダメです」と金髪少女の後ろから翠のマントを翻し耳の長い茶髪お姉さまがにこにこしながら現れた。




「だってよー、アルクー、コーイチの奴ビビって腰抜かしてんだぜ」




「別に腰は抜かしてねーよ」


(呼吸は出来なかったけど)




そう言って、剣を拾い立ち上がる。




「というか聞きたいことが色々あるんだけど‥‥」




「んだよ?」と不服そうに応えるリーサという金髪少女。




「えーーと、とりあえずここどこ?」




「どこってお前、アレだよアレだよ」




「アレ?」と思わずオウム返しする俺。




「そう、アレだよ!!」




「いや、どれだよ!!」




「アレじゃなくて魔王の城ですよリーサ」とサラッととんでもないことを仰る耳長アルクさん。




「シロッ、魔王の城?!えっ、ここ魔王の城なの?」




「さっきから何あたりまえのこと聞いてんだよコーイチ、魔王倒してホントどーかしちまったんじゃねーか? 」




目の前で倒れてる漆黒の鎧に身を纏った男が魔王。


で、俺が記憶喪失の間に何か知らんが異世界転移して、パーティー作って魔王倒したと‥‥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る