甥で息子で、それから夫で

　ニニギとサクヤヒメを両親に持つホヲリと、海の神であるワダツミを父に持つ豊玉姫は恋に落ち結ばれた。
　そしてめでたくウガヤが産まれた。けれど出産のとき夫婦の間に問題が起きた。そのせいで豊玉姫はウガヤを置いて実家のある海に帰ってしまった。
　豊玉姫は息子の子育て要員として妹を送ることにした。それがタマヨリヒメだった。
　タマヨリヒメはウガヤを立派に育て上げ、なんと結婚。子宝に恵まれ、末っ子はのちに神武天皇となった。
　以上が古事記にある神話。

　この短編小説は古事記では描かれていないタマヨリヒメとウガヤの一幕を想像して書いた、あったかもしれない物語。