力を持ち得た者たちの物語は不快に美しく

ううぉー(感嘆のため息)最新話まで拝読しました。ものすごく面白かったです。
この面白さは間違いなく夷也さんでないと出せない持ち味ではないかなと。
人間を掘り下げるように暗く陰鬱な部分をしっかりと描いて、それを面白さに繋げていく。これがオリジナリティだよ、と私は思います。
前回拝読した『獏の見る夢』もメチャクチャ面白かったんですが、こちらも凄まじいものがあると思います。

式という鬼を飼い、蔓延る鬼を式に食わせる能力者のお話なんですが、肌に纏わりつくような不快の描写が素晴らしく、微妙な心の機微を描いて読者の心を物語の中へと引きずり込む。目に浮かぶ、鮮やかなまでの文脈に惹きつけられてゾクゾクするという方も多いのではないかと思います。
夷也さんの作品に触れて「ああ、私ってこういう作品好きなのだな」と発見でもありました。

章ごとに主人公(能力者)が変わりまして、特にお気に入りの章は『羊の章』と『雉の章』なんですが、その他も面白い。全部を読み終えてもう一度読み返したいような衝動にかられます。
まだ、物語途中なのでぜひこれは追いかけて頂きたいなと。
おススメいたします!

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