『稚児考』　＊『弘児聖教秘伝私』などからのあらゆる可能性から稚児の実態を推測する

中世に寺院に存在した「稚児」という少年達は古い文学書に登場します。そして今東光が小説『稚児』で比叡山で発見した「稚児灌頂」にまつわる古文書を発表しました。長く比叡山では「禁書」として存在を知る人も稀でした。それはどんな者達だったのか？書物には書いていない実態と姿を論考しました。
＊令和六年霜月追加
　今、なんでこのような文を書いたのだろうかと、思い出してみている。今東光の作品と辻昌子氏の論文を見つけ衝動が走った結果なのだが、その本当の動機の記述はこの論考の最後の部分にあった。「稚児なる存在は金輪際ない」という深い悲しみと憧れであったのだろう。現在では家名の存続、尊い身分というもの、そしてその品格を保つ躾を子供に押し付けることはない。稚児はそれを人生の始めに具現する生業なのである。そのためには…続きを読む