その花は、悲しく、美しい

偶然再開した憧れの先輩に不意に聞かされる思いがけない言葉、自らのこめかみを指差し、冗談めかして儚い笑みを浮かべ、ここに花の形をした爆弾が埋まっている。と。

その花は開花とともに死をもたらす未知の病、その養分は消化されずに滞留する思考。
未だ蕾のその花の開花を抑える術は、頭蓋の中に渦巻く想いを言葉に綴り続けること。

その開花を拒むため、二人は共に生き、想いを言葉に綴る生業に希望を託す……


別れのときが迫る中で穏やかな生活を営む二人だけの世界は、手を取り合い懸命に生きる姿を描きながらもどこか退廃的で、迎える結末も甘美で儚い、まさに桜の花のように美しい物語です。

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