早く続きが読みたい! 地に足ついた異世界監獄物語

 貴族の庶子に生まれた主人公が、実家の没落によって求めた就職先は監獄だった! という出だしから「おっ」と思わされるのですが、さらに、なぜかそこには魔王を倒した勇者様(♀)が囚われていて……と来て、導入部からして興味をそそられました。
 そして読んでみると、いかにもライトな文体(不思議なのですが、ところどころルビが設定されていないのはなぜでしょう……)と、よく見る感じの西洋風ファンタジー世界ながら、細かいところまでちゃんと作り込まれている。

 ファンタジー世界の監獄といえば、脱出不可能の絶望の地! みたいな大仰な所が多い気がしますが、本作は一国の都市に存在し、下っ端役人たちが働く普通の監獄。と言っても、現代日本のそれからすれば実に劣悪な環境。その環境が、劣悪すぎないところと、異世界だなあというロクでもなさとがそれぞれあって、「ファンタジー世界の監獄での日常」がとても地に足のついた描写になっています。

 こいつは見かけ以上によく出来ているぞ! とすっかり寛いだ気分で進んでいくと、囚人たちの事情などミステリー要素も出てきて、これは「脱獄」タグのように、やがて勇者と逃避行などもあるのか? とますます先が気になる!

 最新話:とあるパン屋の災難 5-10まで読んだのですが、かなり良いところで一ヶ月止まっており、もう続きが待ち遠しい!

 更新を願って、レビューさせていただきました。

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