自分が無くしたものを、見た。

綺麗で読みやすい文章なので、スっと入ってきました。この作品を読むにあたって、重要な感情は、『喪失感』であると思います。
主人公の子の、純粋さが、自分が失くしてしまった物を思い出させるからです。
世間の事や、社会のこと、そんな事を全く知らない、純粋で居られた時期を目の当たりにして、自分にもこういう時間があったのだと懐かしくなりました。
だけどそれは誰もがいずれ無くすもので、二度と手に入らないものでもあります。一体いつから自分たちはこうなってしまったのか。そういった作品の内容とは別の何かを想起させるところが、文学らしいと思いました。

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