文字が鳴ってる怖い(ほめてます)
『鼠の滸』を読みました。犯人は、被害者は。話を読んでいくとなんとなく察しが着くが、その理由とタイトル回収が見事でした。一話一話も短く、サクサク読めるのでぜひおすすめします。
設定や内容の面白さは元より、描写や展開のセンスが素晴らしいです。ある事情からエセ占い師を生業とする友野。その友野についてまわり、絶世の美貌を持つオカルト好き女子大生、渚。穏やかに生活したい友野に、渚が持ち込む事件には、どれも人智を超えた何かが関わっていて……嫌がりながらもついつい渚の持ち込む案件に取り組んでしまう友野の優しさと、興味ごとにはとことんひた走る渚の情熱。二人の絶妙な掛け合いで紡がれる、切なくも背筋が凍るようなゾクゾクが癖になる物語を、是非。
ホラーとかミステリーの書籍を読んでるような、読みやすくも読み応えがある作品。それでいてキャラも立ってるしストーリー構成からフラグの立て方、それの回収の仕方までネット小説とは思えないほどプロい。とにかくレベルが高い。これほどの作品がカクヨムで無料で読めるなんて信じられない!
鼠の滸拝読しましたが、とても安定感があり(凡庸ということではなく、意図せず読者を置き去りにする展開や論理飛躍がないという意味で)、引っかかりなく読むことができました!
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(159文字)
都市部のホラーを読みたい方にいいんじゃないでしょうか。山村で起こるホラーもいいですが、日常に紛れた怪奇は身近だからこそ恐ろしいものだと思います。
今日や昨日。私たちが過ごす日常の裏で、誰かが非日常を過ごしているかもしれない。そんなホラーが、私たちの影に一番近い。