動き出す何か


俺はリビングに着くなりソファー座らされた。


「秋広、も一度傷口をよく見せなさい」


「えっ?、うん」


母さんに言われるがまま、破れたズボンの裾を捲ると。


「な!?、何だこれ!?」


「これは、まさか!」


なんと傷口の皮膚が黒く変色していた!。


「な、なんだ!?。俺の皮膚が!?」


「これは呪いね」


「は!?。呪いだって!?」


その言葉を聞いた瞬間、俺の頭の中は整理がつかなくなった。


「秋広少し待ってなさい。お爺ちゃんの所から秘薬をもらってくるから、その傷口に触ったらダメよ!」


母さんはすぐ立ち上がって、爺ちゃんのいる和室に走っていった。


「待ってろ、なんて言われても」


俺は言われたとうり、大人しくしていた。しかし、やはり足の痛みは尋常じゃなかった。


「痛い、何なんだこれは。母さんは説明もしないで行っちゃったけど」


確か母さんは、傷口に触るなって言ってたよな。


「手で触れなきゃいいんだよな?」


試しに俺は、丸めて細くしたティッシュで、黒く変色した皮膚に当ててみた。すると。


ビリジリリリリ!


「うわぁぁあ!」


ティッシュが黒く変色して、粉々になり跡形もなくなった!。


「あっ、あああ。わぁぁああああ!!」


俺は、あまりの恐ろしさに悲鳴あげ、またパニック状態になってしまった。すると。


「秋広!、持ってきたわよ!」


母さんが戻ってきた。


「か、母さん。この呪い何はなんなだ!!」


「秋広!、深呼吸しなさい。まず落ち着いて」


俺はまた深呼吸をした。そして少し正気を取り戻した。


「大丈夫?。少し落ち着いた?、秋広」


「う、うん。でも母さんこれって」


「絶対触らないで!」


母さんは小さな瓢箪の蓋を開けた。


「薬をかけるわよ」


「お、お願いします」


母さんが瓢箪を横向きにした、すると。


ごぼごぼ、ごぼごぼごぼ。


中から緑色の液体が出てきた。


「ぐっ、ぐぁああああ!」


傷口に液体をかけた瞬間、黙っていられないほど強烈な痛みが襲ってきた。


「我慢して秋広!、もうちょっとだから!」


「ぐぅ、うぁああああ!!」


俺はそんな痛みに耐えた。すると傷口のアザがみるみるうちに消えてゆく。


「ふぅ、これでよし。終わったわ、秋広」


「うぅ、はぁはぁ。よかった、終わって」


俺の傷口のアザは綺麗に消えた。こうして治療が終わり仕上げに傷口にガーゼを付け包帯巻いた。


「秋広、足の調子は?」


「うん、傷は少し痛むけど。さっきよりは大丈夫」


あれ、不思議と足が軽くなった気がした。一体なぜだろう?。


すると母さんが俺に質問した。


「秋広、もしかして帰り側に何かに襲われたりしなかった?」


「え?。あ、確かに黒い影をまとった物体に襲われたような」


「やっぱり、もう時間が無いのね」


時間がない?、俺にはその意味が理解出なかった。


「秋広、あなた一体どうやって逃げてきたの?」


「え?。ああ、確か急に胸から熱いものが込み上げてきて。その瞬間赤いオーラに包まれて、なんか人間とは思えないパワーが出てきたんだ」


「秋広、やっぱりあなたも同じ宿命を」


「え?」


同じ宿命?。一体なんの事だ?。


すると母さんが俺を抱きしめた。


「秋広、本当に無事で良かった。あなたにもしもの事があったら母さん、うっ、ううう。本当に、本当に無事で良かった」


母さんは涙を浮かべながら抱きしめ続けた。


「母さん、大げさだよ。でも本当ごめん心配かけて」


俺はこの歳になっても母親に愛されてることを実感した。 そしてしばらくして、俺は部屋に戻った。


△△▲


俺の家は和室と洋室を合わせた二階建ての一軒家で、自分の部屋は6畳レイアウトで机と本棚とベッドとノートパソコンが置いてある。ちなみに本棚にはラノベと漫画が置いてありかなり充実した部屋だ。


そして俺はそんな部屋に戻ると、体がだるくなってベッドに寝っ転がった。


「ふぅ、とんでもない一日だったなぁ」


正直、言葉に出来ないほど訳の分からない1日だった。そして何より気になったのは。


「あの黒い影物体と俺の謎の力、一体なんなんだら。なんか今日は非日常すぎて考えが追いつかない」


そんな時、俺はヒビキさんの事が気になった。


「ヒビキさん、大丈夫なのか?。無事に帰れたのか?。」


俺はヒビキさんの事が心配になり、スマホで電話をかけた。


プルルルル、プルルルル


「は、はい。ヒビキです」


「あ、ヒビキさん。秋広です」


「あ、秋広。どうしたの?こんな時間に」


「ヒビキさん、家には大丈夫?。無事についた?」


「え?。うん、大丈夫だよ」


「よかった。ふぅ」


ヒビキさんが無事な事を確認し、俺はすごくホッとした。


「あの秋広くん、どうしてそんな電話を?」


「あ、ごめんヒビキさんが心配だったから」


「え?。ど、どうして私を心配してくれるんだ?」


「ん?、そ、それは」


あの黒影の物体の話はしない方がいいな。下手に関わるとヒビキを危険な目に合わせる事になる。そこで俺から出た言葉は。


「それは、ヒビキさんは俺の大切な人だから」


「え!。そ、それわ、どう言う意味!?」


「それは秘密だよ」


「ひっ、秘密って何秋広くん!?」


ヒビキさん、ごめんなさい。女心を弄ぶような事して。だがこうするしかなかったんだ。


「それじゃヒビキさん、また明日」


「え!、ちょっと秋広くん!?」


ピッ。


俺は電話を切った。


そして再びベッドに寝っ転がる。


「はぁ〜」


ため息をつきながら、黒影の物体とあの力について考えた。


「あの黒影の物体は何だったんだ?。まるで化け物だ。それに、母さんと爺ちゃんは、なんか知ってるのか?」


色んな疑問が残る。正直、推測すらも難しい状況だ。


「訳わかんねぇよ、一体何がどうなってんだよ」


そんな事を10分程考えた後、俺は制服から私服のジャージに着替えた。 そして椅子に座り机のパソコンの見ながら、俺はエロゲーをやろうか考えていた。


「どうすっかな」


正直ここ最近、ロクな睡眠もしていない。それに今日は恐ろしい化け物に襲われるし。とてもそんな気分になれない。


「非現実過ぎるだろ。なんで俺が命を狙われなきゃならない」


そしてあの黒影の針の事を思い出す。


「あの黒影針、まともにくらってたら死んでたな。」


そうあの黒影の針を足だけでなく、もし体全体にいれば


「万が一の時は、死は覚悟はしろって事だろ」


そう、あの力が無かったらおれ確実に死んでいた。次にまたあの力が助けてくれる保証はない。


「格闘術は経験あるけど結構前からサボってるしなぁ。・・・よし、また始めるか」


俺は昔じいちゃんから格闘術を習った事がある。打撃、寝技、投げ技まで、いわゆる総合格闘術だ。


「でもなぁ、あの化け物にどこまで通用するかって話だもんなぁ。まぁ、考えてもしょうがないな」


この件の考えは一旦保留にして俺は別な事を考えた。


「女子とめったに話さない俺が、今回はガッツリ話をしてたな」


確かに中学生になった時に女子とはちょっぴりしか話せてないし、高校になってからは女子とは全く無縁の状態だった。


「ヒビキさん、可愛かったなぁ。まさか俺みたいな異性と縁が無い男が、ヒビキさんと友達になるなんて」


俺の心が少しだけ心が晴れやかになった。今はただ何も起こらない事を願うばかりである。


△△▲


俺が通う、真聖流高校は成績優秀な人や平均的な人など様々な人が通う普通の高校である。


そして今日も俺は学校に登校した。


「今日は、スパッと起きれたな」


昨日はちゃんと8時間眠ったので、今日はやけに調子が良かった。


「お、秋広!、今日は珍しく顔色いいじゃん!」


声かけたは、いつも元気な友春だ。


「何だよ友春、俺の顔色が常悪いみたいな言い方じゃねぇか」


「だって、お前毎朝ずっと眠そうな顔してたからさぁ」


「はいはい、お気遣いどうも」


友春は朝からテンション全開で、俺の気力が持ってかれる。


「お!、さすが秋広、これでエロゲーも卒業かぁ?」


「やめねぇよ!。・・・いや、しばらくやらねぇわ」


その時友春は非常に驚いた。


「は!?、どうしてだよ!」


「それは秘密だ。誰にも言わない」


「お前まさか、抜け駆けして女子と」


「そんなわけねぇだろ!」


「ずるいぞー!。お前一人で女子を独り占めなんて!。俺も混ぜろ!」


「お、おい!。抱きつくな、暑苦しいだろ!」


友春の変なテンションのおかげで今日の朝は賑やかだった。まるで昨日のことが嘘のように。


そして体の方も疲労はほとんど無くいつもより調子が良かった。睡眠は重要だという事を、今回改めて知った。


そして時刻は午前12時。昼休みに入った時。


ブルルル。


「ん?」


ヒビキさんからメールが届いた。


(秋広くん、今日はお弁当作ってきた)


「ん?、お弁当?、・・・あ」


そう、俺は、昨日約束してた事に気付いた。


「そうだ、忘れてた、今日はヒビキさん弁当作ってくれたんだ」


俺はすぐに返信した。


秋広 (了解、すぐに行くよ。屋上でいいの?)


ヒビキ (うん屋上で待ってる)


俺は、ヒビキさんの所に行く事にした。


屋上に扉を開けると、ヒビキさんが待っていた。


「あ、ヒビキさん」


「あ、秋広くん今日は頑張ってお弁当作ってきた」


「うん、ありがとう。」


俺はヒビキさんの隣に座り、ヒビキさんからお弁当をもらった。


「はい、秋広くん」


「あ、どうも」


弁当箱の蓋を開けて見ると。


おかずとご飯が綺麗に盛り付けされていた。


「それじゃあ、いただきます」


さっそく食べてみることにした。


最初はこの卵焼きから食べよう。


この綺麗に作られた、卵焼き一口食べた瞬間。


「う、うまい!」


予想以上にうまくて、びっくりした。


「すごく美味しいです、ヒビキさん!」


俺はがそう言うとヒビキさん、ホッとしたようだった。


「ふぅ、良かった」


ヒビキさんは笑顔で、そう言った。


その他も色々食べたが、どれもすごく美味しすぎて、初めて生きてることに感謝した瞬間だった。


結構俺はヒビキさんの作った弁当をあっという間にたいらげてしまった。


「ふぅ、美味しいかった、ごちそうさま」


「ありがとう、そう言ってもらえて嬉しいよ」


ヒビキさんは嬉しそうだった。


「ヒビキさんって、本当に料理上手なんだね」


俺がそう言うとヒビキさんは


「いや、褒めすぎだよ、そんな事言われたら照れるな」


「いや、本当だよ、ヒビキさんお弁当、本当に美味しいかったから!」


「あ、ありがとう、秋広くん」


ヒビキさんは、嬉しい表情をしていた。


そして俺も心の中で、こう思った。


人生って面白いな。そして不思議だな。



そして食後は、ヒビキさんと話をしていた。


「秋広くん、今日も私と帰らないか?」


「え?。あ、俺でよければ構わないよ」


「本当!。ありがとう!」


その時、何故か俺は友春の事が頭に浮かんだ。


友春にこんな所見られたら確実に嫉妬してブチギレるだろうな。だが俺の答えは決まってる。


「いいよ、一緒に帰ろう」


俺がそう言うとヒビキさんは


「あ、ありがとう」


あの影の正体が分からないし、万が一、ヒビキさんに何かあったらと思うと。


「じゃあ、ヒビキさん、ごちそうさま、また帰りね」


「うん、それじゃ秋広くん帰りで」


俺とヒビキさんは教室に戻る事にした。



そして一通りの授業が終わり、帰る時間になった。


「それじぁ秋広、俺、また月曜な」


「おう、またな友春」


友春と帰る事はめったにない、帰る方向が逆だからだ。


俺と友春はと廊下で別れると。


俺はヒビキさんにメールをした。


(ヒビキさん、今日も校門前で良いかな?)


俺がそう送ると、ヒビキさんからすぐに返信が来た。


(うん、それじゃ校門前で)


「よし」


そうと決まれば、行くか!


俺は、さっそく走って行った。


そして校門前に着くと、ヒビキさんが待っていた。


「ヒビキさん、遅れてごめん」


「大丈夫だよ、私がいつも早いだけだから」


ヒビキさんは、今日も笑顔そう言った。


「それじぁ、帰ろっか、秋広くん」


「そうだね」


俺はヒビキさんは一緒に帰る事にした。


「ヒビキさん、何か飲む?、公園に自動販売機があるんだけど」


俺がそう言うと、ヒビキさんは。


「秋広くん、今日は私に奢られせてくれ、この前タコ焼き奢ってくれたんだから」


いや、そう言う訳にもいかない。


「いや、タコ焼きの件は大丈夫、俺が奢りたくて奢ったんだし、それに今日のお弁当、凄く美味しかったから、そのお礼だよ」


俺がそう言うとヒビキさんは笑顔で。


「じゃあ、今日はピーチ・サイダーをお願い出来るかな?」


「うん、喜んで!」



俺はヒビキさんに公園の自動販売機でピーチ・サイダーを奢ってあげた。


そして俺は自分用にアップル・サイダーを買った。


プシュ!


俺とヒビキさんは、ベンチに座り、アップル・サイダーとピーチ・サイダーの缶を開けて、ゴクゴクと飲み出した。


シュワシュワシュワ


「くぁあああ!、美味しい」


「ふぅ、美味しいな」


学校帰りの炭酸飲料は格別に美味しかった。


すると、俺は、明日、自分の好きな漫画の新刊が出る事を思い出した。


「ねぇ、ヒビキさんって漫画も読むの?」


俺がそう質問すると。


「勿論!、漫画も大好きだ!」


ヒビキさんは笑顔そう言った


「どんな漫画とか読むの?」


「そうだね、異世界冒険系とか後、魔法少女系と

か、青春恋愛系と、・・・あ!、今のは聞かなかった事にして!」


ヒビキさんが突然真っ赤なった。


俺はヒビキさんが、かなりの少女漫画好きの、ロマンチストである事に気づいた。


「ヒビキさん、今度時間あったら」


と言った、次の瞬間。


ゴゴゴゴゴゴォ。


俺はまた昨日の妙な気配感じた。


「は!、何だこの気配は」


「ねぇ、秋広くん、今なんか妙な気配感じないか?」


え、ヒビキさんもこの気配感じ取ってる!。


「ヒビキさんも感じるのかい、この奇妙な気配を」


「ああ、何か段々近づいている感じがしてる」


確かその気配は徐々にこちらの方に近づいて来ている。


「ヒビキさん、ここから離れよう、なんかやな予感がしてきた」


「そ、そうだね、とりあえずここから離れよう」


俺とヒビキさんは、とりあえず自分達のカバンを持って、走ってこの場を離れた。


しかしその気配徐々に近づいて来ていた!。


「秋広くん、何だあの黒い影は!」


「え?」


後ろ振り向くと、そこには昨日見た、謎の影が物凄いスピードで近づいてきていた!。


「まさか昨日の!」


そして、その影は、俺とヒビキさん真上を飛び、目の前に立ちふさがった。


そして俺たちはこの後、衝撃と恐怖の光景をにを目にする事になる。

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紅蓮の竜牙 ホシフウ たつと @svsmrd35

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