色々あって

「あぁ〜腹減ったなぁ」


学校が終わり、帰る準備をしていた時。


ブルルル。


「あれ?、スマホにメールが来てる。ヒビキさんからだ」


さっそくメールの内容を見てみると。


「なになに?」


(秋広くん、今日は色々ごめん。よければこれから時間作れないかな?)


「え、マジか」


なっ、何なんだ!?、このラブコメ小説にに出てきそうなメールの内容は!?。


「そっ、そうだなぁ。ん〜」


俺の回答は。


(うん、いいよ。どこで待ち合わせ?)


ヒビキさんに送信した。


すると、すぐメッセージが届いた。


(そうだな、学校の校門前でいいかな?)


「なるほどね」


(了解、今から向かう)


そう送信した。


「よし、行くか」


そして俺はカバンを持って教室を出た。



夕方の4時過ぎ、俺は校門前に来た。


すると、ヒビキさんが待っていた。


「ごめん。ちょっと遅くなった」


するとヒビキは笑顔で。


「いや、そんなことない。私もさっき来たばっかりだから」


笑うと、可愛いなヒビキさん。


「それでヒビキさんどうしたの?」


俺がそう質問すると。


「いや、お昼の時に君の貴重な時間を奪ってしまったから、そ、その〜」


何やらヒビキさんが、もじもじしている。


「あ、あの秋広くん!、タコ焼きは好きか!?」


「え、好きだけど」


「そ、そうか、それじゃあ今から食べに行かないか!」


「え!?」


マジかよ、ラブコメ小説かよ!。本当になんなんだ今日は!?。


「うん、いいね、行こうよ。俺すげぇお腹空いたからさぁ」


そう言えば確かに、めちゃくちゃ腹減ってたことに気づいた。


「そ、そうか、じゃあさっそく行こう!」


「うん!」


俺は、ヒビキさんと一緒にタコ焼き屋さんに向かった。


△△▲


しばらく歩くと


「あった、アレが私のお気に入りの店だ」


「お、美味そうな匂いがする」


そこで焼いてるタコ焼きは、すごく美味しそうだ。


「すいません!」


ヒビキさんがそう言うと。


「はぁ〜い。あら!、ヒビキちゃん!」


「こんにちは彩子さん。今日も食べに来ました」


「ヒビキちゃんはうちの常連さんだからねぇ、嬉しいよ」


このタコ焼き屋さんの、彩子さんと言う人は歳は30代後半ぐらいだろうか。その人はとても明るかった。


「あら、ヒビキちゃん、隣の人は?」


「あ、こ、この人は、そ、そのぉ〜」


ヒビキさんが、少し顔を赤くして動揺していた。


「初めまして、同じ学年の竜牙秋広です」


俺は笑顔で挨拶した。


「あら!。もしかしてあなた、ヒビキちゃんの彼氏!?」


「な!?」


俺も顔が赤くなり、心臓がバクバクしてきた!。


「彩子さん!、秋広くんとは、と、友達です!」


ヒビキさんの顔がさらに赤くなっていた。


「本当?、二人顔が真っ赤になってるけどぉ」


気づかれてたか!。


「と、とにかくタコ焼き2つください!」


「ふふふ、はいよ」


彩子さんは、ものすごい手際の良さでたこ焼きを二つを作った。


「はい、お待ちどうさん、6個入り2つで、600円ね」


「あ、はい、ちょっと待ってください」


ヒビキさんカバンから財布を出そうとした時。


「はい、600円です」


俺は、ポケットから小銭入れを出し600円を出した。


「はい、まいどあり」


「あ!、ちょっと秋広くん!」


「はい?」


「何で、君が払うんだ!、今日は私が奢ろうと思ったのに!」


ヒビキさんは、ぷん!、少し顔を膨れさせた。


「いいんだよ、気にしないで。今日は奢りたい気分だったからさ」


「おっ!、男前だねぇ」


彩子さんが、からかってきた。


「んん、・・・」


俺は赤くなって何も言えなくなった。


「と、とりあえず、ありがとうございました!」


「はいよ!。また来てね!」


俺とヒビキさんは、顔を赤くしながら、その場を後にした。


そんな訳で色々あって、この街で一番広い、青空さくら公園に着いた。


「・・・、あ、秋広くん、あのベンチに座ろうか」


「う、うん。そうだね」


なんか気まずい空気になっていた。


それに俺も俺で、結構メンタルがエグられていた。


「と、とりあえず食べよう!」


「そ、そうだな」


俺は袋からタコ焼きを取り、ヒビキさんに渡した。


「そ、それじゃあ、いただきます」


「い、いただきます」


俺がタコ焼きを1つ食べて思った、初めての感想は。


「うまい!!」


絶妙な焼き加減とふわふわとした食感、そしてソースとマヨネーズと鰹節最高にマッチして、ヤバい、とにかくうますぎる。


「秋広くん、気に入ってくれたかな?」


「はい!、ヒビキさん!。このタコ焼きうまいです!」


「よかった、気に入ってくれて」


ヒビキさんは、ほっ、とした表情をしていた。


「私、初めてなんだ、こうやって人と話すのは」


「え、そうなんですか?」


「う、うん」


するとヒビキさんは、こんな話をした。


「私ね、小さい時から人付き合いが苦手で、友達ちも全然いなかったんだ」


「え?、そうなんですか?」


ヒビキさんが、過去の話をしてくれた。


「私は小さい頃から、お母さんが大好きだだったんだ、それでよく一緒に絵を描いたりしていたんだ」


「ヒビキさん、絵を描くんですか?」


「うん、しばらく絵は離れていたんだけど、最近また始めたんだ。まぁ、イラストだけど」


「イラストですか、凄いですね!」


「いや、まだ練習中で、まだ簡単なイラストしか描けないんだけどね」


「でも凄いですよ、今度見せてくれますか?」


「え、いや、実はまだ完成してないんだ」


「え?、そうなんですか?」


「うん、でも完成したら見せても・・・いいよ」


「ほんとですか!、楽しみにしてます!」


「うん!」


ヒビキさんは笑顔で喜んでくれた!。


「それでヒビキさん、どうしてしばらく絵から離れていたんですか?」


「うっ、そ、それは」


俺がそう質問すると、ヒビキさんはさっきの笑顔から一変、少し悲しそうな表情をした。


「あ、ごめん。答えたくないな無理に答えなくても大丈夫だから」


どうやら俺は、彼女のタブーな所に触れてしまったようだ。


「いや、そんなんじゃないんだ」


「大丈夫?」


「う、うん」


ヒビキさんは絵から離れた理由を教えてくれた。


「私ね、小学4年生の時に、お母さんを病で亡くしたんだ」


「え!。そ、そうだったんですか」


その瞬間、俺の口から言葉が出なくなった。


「私ね、いつもお母さんと一緒で、私が絵を描くと、いつも褒めて喜んでくれたんだ」


「ヒビキさん、本当にお母さんが大好きだったんですね」


「うん、お母さんとの思い出もいっぱいあるし本当に楽しかった。でも・・・」


ヒビキさんは、息詰まった。


「お母さんが亡くなってから、絵を描くのが辛くて悲しくなって、それで・・・、やめたちゃったんだ」


ヒビキさんは辛い表情をしていた。


「あの日、私は小学6年生の春だったかな、いつものように家族の絵を描いていた時、突然に病院から連絡が来て、それで、・・・お母さんが亡くなったことを告げられた」


俺は心がズキズキ痛んだ。


何故なら俺もその気持ちを少しだけ理解できるからだ。


「私ね、最初はその現実を受け入れならなかった、悪い夢なんじゃないかと思った、明日になればきっとこの悪い夢も覚めてくれるんじゃないか、そう思ったんだ、・・・けど明日になった時、夢じゃないって事を突きつけられた」


「・・・、ヒビキさん」


ヒビキさんは過去に辛い経験してる事を俺は知った。


「本当、あの時は、私の中で時間が止まったんだよね、周りの時計の針は進んでるのに。それで学校から帰るといつも自分の部屋で泣いてた。友達がいなかったから、正直、孤独だったんだよね」


俺にも分かる気がした、何故なら俺も小学生時代孤独だったからだ。


「ああ、ごめんね。なんか暗い話になっちゃって」


「いや、構わないよ。それに、俺も似たようなもんだからさ」



「え?、ど、どういう事だ?」



「俺もさ、父親を亡くしてるだ」



「え?」


ヒビキさんは、キョトンとした表情になって。



「俺も、親父を小学生2年生時に亡くして、正直辛かったんだ。なんか、当たり前の様にあったものが急に霧の様に無くなったみたいな感じだった」


「そうなんだ、秋広くんにもそんな過去が」


「ああ、本当にいい父親だった。休みの日はキャッチボールや将棋とかやってくれたし、夏には山で虫捕りに付き合ってくれたし、本を読んでくれたりとか、本当に楽しかった。・・・それなのに、あんな事になるなんて」



「あんな事?」


「え?、あ、ごめんちょっと喋りすぎたね」


「い、いやそんな事ないよ!。でもあんな事って」


その時、過去の記憶がフラッシュバックして自分の体が震え上がった!。


「うっ、・・・ごめん、それ以上は言えない。思い出したくないんだ 。ハァハァ」


そう、思い出したくない光景だった、今でもトラウマになるぐらい、記憶に焼き付いてる。


すると俺の体から冷汗が出てきて、呼吸が少し乱れて、軽いパニック状態になっていた。


「ハァハァ、父さんは、父さんはあんな死に方、ハァハァ、する人じゃ」


するとヒビキさんは俺の異変に気付いて。


「落ち着いて秋広くん!、私を見てゆっくり深呼吸して!」


ヒビキさんがそう言うと、俺は彼女の顔を見て、ゆっくり5回深呼吸した。


そしてようやく呼吸が安定して、精神状態が正常に戻った。


「秋広くん、確かに話したくない事もあるだろうから無理には聞かないよ」


「ああ、本当ごめん」


するとヒビキさんが、ホッとした後、クスッと笑った。


「秋広くん、タメ口になってるぞ」


「え?、あ!、ごめんなさい!」


「いや、私はタメ口の方がいいよ。その方自然で私は好きかな」


「え!、そ、そうかな?」


「ふふふ、秋広くんといると何だか自分に素直になれるな。私達、案外似た者同士なのかもね」


「そ、そうなのかな?」


なんだろう、今日知り合ったばかりなのに、だいぶ打ち解けることができたな。


俺の心は和やかな気持ちになった。


するとヒビキさんは俺の顔見るなり何か違和感を感じたようだ。


「秋広くん、なんか顔色少し悪いぞ、慢性的に疲れてるんじゃない」


「え!?」


「秋広くん、昼はいつも何を食べてる?」


「俺はカレーパンとあんパン、それとコーヒー・オレですが」


俺がそう答えると、ヒビキさんは心配そうな表情をしていた。


「秋広くん、随分食生活が乱れてるな。そんな食生活を続けると体に良くない」


ごもっともだ。


「それに目の下に少しクマができてるぞ、最近寝不足な証拠だ」


全くそのとうり、ピンポイントです。


俺はヒビキさんに、かなり図星なところつかれた。


ヒビキさん、意外と健康に気を使ってるんだな。


「じゃあ睡眠はちゃんと取ろうかな、でも昼飯は誰も使ってくれる人が居ないんだよなぁ」


まぁ、俺の母親は夜遅くまで働いている、だからあまり身体に負担かけたくない。


俺も料理はできる、でも遅くまでゲームをやったりしてるから、寝不足で、料理を作る気力と時間がない。


「あ、秋広くん、私で良ければ明日お弁当、作ろうか?」


「え?」


「ん?、どうしたの?」



「え、え!?。そんな申し訳ない無いよ!」



「いっ、嫌なの?」


「嫌じゃない!、是非お願い!!」


「ふふふ、了解」


あれ?、ヒビキさんは優しいけど、俺たちあくまで友達だよね?。


俺はヒビキさんとの関係に若干違和感を覚えた。


そしてそんな時間も、あっと言う間に過ぎ。


「あ!、もぉこんな時間だ!、ヒビキさん俺帰らないといけない!」


俺は立ち上がった。


「えっ、もう少し話がしたかったなぁ」


ヒビキさん少し残念そうな顔をした。


「大丈夫、俺達、連絡先交換したでしょ、それに学校でもね」


そう言うと、ヒビキも立ち上がって。


「そっ、そうだね、じゃあ秋広くん、また明日ね」


「うん、それじゃあ」


俺とヒビキさんはお互いに手を振って、その場を後にした。


△△▲



ヒビキさんと別れて、公園を出た時、俺は奇妙な気配を感じた。


「ん、何だ?。誰かが、俺を見ている?」


何か強烈な違和感を感じた。今までにない恐ろしい気配だった。


その気配はやがて俺の方に近づいて来るきがした。


すると目の前に過大な影をまとった、謎の物体が目の前に現れた!。


「うわ!。な、何だ!!」


すると、その影の物体は声を発した!


「見つけたぞ、憎き紅蓮の力を受け継ぐ者よ!」


「ぐ、紅蓮!?。何の事だよ!?」


俺がそう言ったその時!。


ヒュンヒュン、シャシャシャシャ!!。


影を纏った物体に、鋭い黒影の針のような物が大量に現れた。


「ななな!、何だ!」


そして次の瞬間!。


「シャドウレイン!!」


シューゥウババババババン!!、シューゥウバババババババン!!。


その黒影の針は秋広目掛けて一気に襲いかかる。


「うわぁああああ!」


ジジジジン!。ヅカッ!ヅカッ!


俺は間一髪のところで、横に転がり込んで何とか回避した!。


そして、その黒影の針は、硬い道路の路面をエグいほど貫通していた。


「な、なんだよこれ」


俺は何が起きてるのか分からず混乱していた。


するとあの黒影の針が直ぐそこに迫っていた。


「まっ、マジかよ!」


俺は全力でダッシュし、左右にジグザグ走りして、必死かわそうとしたが。


ガリ!、ズキャン!。


「ぐっ!」


ドタン!!、ズルルー!!。


黒影の針が俺の右足首を擦り俺はバランスを崩し、ずっこけた!。


「痛ってぇえええ!。この野郎、何しやがる!!」


俺の足首は制服が破れぐらいで、傷もかすり傷程度だったが。


「うぅクソォ。傷口が、火傷の様に痛い!」


さっき受けた攻撃のせいか、傷口が焼いたパイプを皮膚に当てられたような痛さだ!。


「くっ、こんなとこで死んでられっかよ!」


それでも俺は、何とか両腕と右足でバランスをとり、なんとか立ち上がって逃げようとした。


しかし!。


「己!。逃すものか!!」


あの黒影の物体が目の前に


「ちっ、また来んのかよ!」


俺は逃げようとしたが。


ズキズキ!。


「ぐっ。ちっ、足の痛みが」


さっきくらった攻撃のせいで、痛みで足が思うように動かない!。


するとあの黒影の物体がまた目の前に立ち塞がる!。


「憎き力を受け継ぐものよ、孤高の闇に葬られるがいい!」


するとまたあの黒影の針が現れ、自分の周りを完全に囲んだ!。


「しまった!。逃げ道がない!」


俺は完全に包囲されてしまった!。


「暗黒魔法、シャドウレイン!!」


シューゥウバババババババババン!


「だっ、ダメだ!。かわせない!!」


もうダメだ、俺はそう諦めかけていた。その時。


ドクン!、ドクン!。


「うっ!」


体から熱い何かが溢れてくる!。


ドクン!、ドクン!!!。


「うっ、うぉぉおおおおお!!」


俺は思わず雄叫びを上げた。そして次の瞬間!。


ドワワ!、ヒィーュルルルドワーン!!!。


体が物凄い勢いで、赤い紅のオーラに包まれた!。


バババンキン!。ジリリリン!、ジリリリリン!。


黒影の針が一瞬にして消滅した!。


「何!!。こ、これはまさか!」


強烈なオーラに圧倒され黒影の物体は吹き飛んだ!。


「ま、マズイ!。早く彼の方に報告せねば!」


黒い物体は身の危険を感じどこかへ消え去っていった。


「うううっ!、は!」


俺はここでようやく理性を取り戻した。


すると、溢れるオーラが一瞬で消えた。


「な、何だったんだ一体?。うっ、体がだるい」


そして俺は尋常じゃな疲労を感じていた。さらに。


「うっ、足が」


やはり足の傷がズキズキと痛む。


「と、とにかく帰ろう」


俺は右足を引きずり気味で歩いた。



そして俺はくたくたになって家に帰ってきた。


「ただいまぁ」


「あ、秋広お帰りなさい随分遅かったじゃない」


今日は珍しくお母さん出迎えてくれた。


「ふぅ、疲れた」


「あら、秋広凄い汗じゃない。どうしたの?」


「あ、うん。色々あって」


俺は靴をぬいで、スリッパに履き替え用とした時。


「あら、秋広その傷どうしたの?」


「あ、ちょっとね」


母さんが俺の右足の傷に気づいた。


「どれ、よく見せなさい」


母さんが俺の傷を見た瞬間。


「秋広、今すぐこっちに来なさい!。すぐに治療するから!」


「え!、何!?。何なの!?」


俺は母さんにリビングまで引っ張って行かれた。








































































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