音と静寂の隙間に流れる、二人のひととき

訳あってその場にやってきた自分、そこでピアノを弾いていた見知らぬ男子生徒。

曲名は出てきませんが、彼らの会話の間に間に、ピアノの奏でる調べが聞こえ続けていました。

静かで優しく、時に荒れ狂うほど情熱的に、巧みで拙く、噛み合わないようですれ違うようで、しかしそれでも何かを伝え合おうと紡ぐ、彼らの言葉に連動して。

音を楽しむから音楽。
人から見て楽しそうでなくても、好きだと思う気持ちがあればそれでいいのです。

覚束ない指先で鍵盤を叩くようなもどかしさがあたたかく心地良く響く、青さと爽やかさが印象的なお話でした。

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