永遠に色褪せない、鮮やかなヒミツの咲く庭で


華やかなる宮廷で巻き起こる、絵画を巡るナゾとヒミツの恋。

天才画家と専属メイド。その関係は、はじめ一方通行のようにも思える関係性だった。
主人が見ているのはキャンバスと対象だけ。メイドはその背を読み取って己の領分を果たす。

だけどひとつの事件が嵐のように花々を撒き散らしていく。過去も未来をも巻き込んで。

それぞれの人物の過去と秘密、その交錯具合が絶妙で、始終ハラハラドキドキしっぱなしだった。
そうして真実に辿り着いた時の、驚嘆。
思わず想いを馳せてしまう。
予想できないラストに胸が詰まる。

ぜひ見届けて欲しい。絵画に込められた乙女の真実を。

物語を彩るキャラクターたちすべてにきちんと筋が通っていて、誰も彼も大事な色《ピース》。
ひとりでは望む色にはなれないけれど、誰もがどこかしら惹かれ合って、重なり合って、キャンバスでその色を咲かせていく。
読むひとによって色やかたちを変えるけれど、“恋”というものだけはきっと誰にとっても、ほろ苦く、甘酸っぱく、世界のすべてのようにさえ思えるあの純情。

ぜひたくさんの人に読んでほしい!
素晴らしかった以外の感想を捻り出すこれが限界…!

色と恋が溢れ出す、とても素敵な作品でした!