夢路の果て

　死を考えることは不吉なこと、避けなくてはならないことなどと、人はいつもそう思っています。
　だれもそこにいって戻って来ないのですから、無理もありません。
　人は得体の知れないものに対して、忌避するのが当然のことです。
　でも、この世に生を受けたものは、必ず、その一点に向かって、さまざまな営みを続けていると言うのは、嘘偽りのない事実なのです。
　ただ、年柄年中、そればかりを意識していては、やりきれないから、幼いうち、若いうち、それ相応のうち、そして、老いたうちに、それに対する想いは、面白いほどに変容を遂げて、その人の中で練りこまれていくのです。