少女か騎士か、ひとりの娘を全方向から見る丁寧な物語

 騎士を志す娘、ラーソルバールを多面的に捉えた大作。

 本作の主人公であるラーソルバールは、騎士を目指す娘。
 確かな剣の腕と、ひたむきな努力、そして友好的な仲間たちの協力によって着々と成果を上げ、その名を上げていく過程が丁寧に描かれています。

 ラーソルバールは非常に抜きん出た実力を持っており、騎士学校入学直後から多くの活躍を見せ、各界の有力者たちからの注目も熱い有名人となってゆきます。しかし、当人は注目を集めるつもりは全くなく、むしろ恐縮してばかりの場面がとても多いです。
 どんどん大きくなる評判と裏腹に、普通の少女としての一面も確かに見せるラーソルバール。こうして彼女を多方面から見ることができるのは、一部の登場人物と、読者だけの特権と言えるでしょう。

 一人の少女を中心として、じっくりと描かれる変化は一見の価値ありです。

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