最初は「木徳直人はミズチを殺す」とは違う作風かと思いきや、物語が進むにつれて、段々しに不穏な気配が立ちこめてくるこの感じは、前作に通じるものがある。
主人公が生活保護を申請して無職というところからはじまるので、そこから這い上がるカタルシスを感じさせる物語と思いきや、良い意味で期待を裏切る展開が続く。
直也のヒーロー観と、この世界の裏側の秘密がどう繋がっていくのか?
ビッグ・セックとは何者か? ヘラクレスとは本来なんなのか? 様々な謎がある中で、作中の伏線がどう絡み合っていくのか、先の展開が読めない。
また、ビッグ・セックは、その魅惑さと彼女の持つ秘密がエロティックを演出している一方で、その不気味な特性から不安感も覚える、非常に魅力的なキャラクターとして映る。
直也と兎羽歌ちゃんの関係性はこれから良い意味で発展していって欲しいが、前作や本作の流れを考えると、そうそううまくはいかない気もする。
前作でも感じたが、やはり本作でも戦闘シーンは臨場感がある。
一文一文が短いのでスピーディに読めるが、作中の時間は何故か引き延ばされたように感じられて、一瞬一瞬の緊張感が見事に演出されている。
そこに、作品の設定が新たな展開を見せることで、その面白さをより一層引き立てている。
この先、どのように謎が明らかにされ、キャラクターたちがどのような結末を迎えるのか、楽しみな作品である。
最新作まで読み終えた感想として。
日本のヒーローモノと言えば、スーパー戦隊モノがまず初めに頭をよぎりますが、こちらは、どちらかというと、欧米のアメコミヒーローモノに近い印象を持ちました。従順で素直な性格のトワカ、トワカを見て昔ながらあった自身のヒーローへの憧れを実現させた直也。
一見すると、自警団のように勝手に二人がヒーロー活動を手を組んで真面目に取り組む姿は、もし一般の、一ノ瀬のようなものが見たら、滑稽にうつるし、バカにもするでしょう。ただ、
ただ、自分は、こうやって何か志を持って自分の信じた道をいき、大真面目にヒーロー活動をする彼らを笑いはしません。
だれもがバカにしてたモノから始めて、それが大きなうねりとなって、本流となっていく事例、それこそフィクションでもいい。いくつも見てきましたから。だから、彼らを笑うものは自分は絶対に許しません。
勇気の出る、そして、幼き頃の夢を叶える、すばらしきヒーロウ作品をありがとうございました!
現在連載しているところまで拝読致しました!
連載中16話の1話も欠けることなく、疾走感があり面白かったです!
何者でもなかった主人公の成長が描かれていているのですが、完璧じゃないのがまたいい!
例えば、下心が働いて着替えを覗いちゃったり、胸に言及しちゃったり(笑)
一方ヒロインの心境の変化も見受けられて、それは私たち読者にも影響します。
地味で目立たない女子だった兎羽歌ちゃんが、話が進むにつれとてもかわいい女子だなと感じるようになります。
何より誤字脱字がほとんどなく、文章も適切な言葉遣いで読みやすいです。
基本的なことなのですが、簡単ではありません。
読み専だけでなく、文章を書く方にも一読の価値がある作品だと思います。
冒頭の生活保護の話やケーキを投げつけるシーンが虚しくて、ここからどう主人公が強くなっていくのかが気になって読み進めやすかったです。
ジョギング中の主人公の強い意志の表し方や河川敷で叫ぶシーンなどの表現の仕方がとても好きです。
短くて、それでいて主人公が感情を揺さぶられた単語。
ストレートでテンポよくて主人公の強い意志が感じられました。
少し気になったのは、大上さんとの距離が縮まる描写や生活保護を受けている状況でのお仕事の内容などにもう少し描写が欲しかったです。
新型鬱がどのような心理状態なのかは知識がないので分からないのですが、主人公が自分の病気と向き合ったり葛藤する部分を見れるとより良かったかなと思います。
全体的なとても良くて主人公がどんどん知らなかった世界へと足を踏み込んでいく感じがとてもワクワクしました。