彼らは何故、芸術に固執するのか。

 絵画、彫刻、音楽、寸劇……芸術と一言にいっても様々な分野があります。小説を書く人もその枠に含まれると思うのですが、これは芸術作品を生み出そうとあがき、もがき、苦しむ人々を描いた連作短編です。傍目に見れば「苦しいならばやめればいいのに」と言ってしまえば解決する話なのかもしれません。しかし、それでも表現すること、創造することから離れられない人々がこの物語の中には息づいています。それは余命わずかの人かもしれないし、表現のために命を落とす人かもしれません。それらがどこか他人事には思えないし、胸に深く突き刺さる何かがあります。様々な分野の芸術に携わる人々から見える本質、人間というものを垣間見ることができる物語だと思います。