深い海に沈む、水晶のような。

 人間の罪を浄化するために、生贄を喰らう『救済の怪物』と、生贄の娘。
 だが怪物は、理性を持った娘を口にすることを拒み……。

 溢れるように多彩な表現で綴られる、深いモノクロームの世界。その情景は、ダークでありながら神秘的な美しさをたたえています。

 怪物の想いの揺れ動くさまは、苦しくなるほど胸に迫り、どうかせめてと、儚い願いを抱いてしまう。

 そして……。

 ネタバレしそうなので詳しくは言えないのですが、この終わり方、個人的にとても好きです。
 読み終わった今、余韻を噛みしめています。