すれ違う心、離れゆく心、求める心。どれもが真っ直ぐすぎて痛いです。

少し頼りないアラサー大学生の西本真。
主人公の彼を取り巻く三人の女性。
誰が淑女で、誰が悪女なのか、タイトルの示す意味にまず興味を引かれます。

読み進めていくうちに、登場人物の誰もが不器用で、まっすぐな思いを胸に秘めていることがわかります。
それは、家庭内暴力を振るう酷い男の心にもあるのです。
そんな登場人物の織り成す愛憎劇にいつしかどっぷりはまってしまい、それぞれの幸せを祈らずにはいられないのですが、複雑に絡み合う思いをほどき皆が幸せを掴むというのは到底無理な話で……

離れゆく心を自覚できない真と、彼を愛しているのに引き止めることのできない奈央の苦しみは、心の動きが特にリアルで、恋の終わりってこういうことだったりするよね……と胸が痛くなります。

けれども、そこで簡単に終わらないのがこの物語のすごいところ。
衝撃のラストは必読です!

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