温泉施設で繰り広げられる、仁義なき戦い。スタッフは今日も振り回される!

 人は、温泉に癒しを求めてやって来る。繰り返される日常で、溜まりに溜まったストレスの解消に……。又は、疲れた心と体に潤いを求めてやって来る。

 しかし、そんな温泉施設に非日常が潜んでいる。一般の客に紛れ込み、極悪非道の限りを尽くす輩たちが、陰に隠れて暗躍している。やつらは、さも当たり前のように行動する。

 スマホ持ち込み。お湯に潜る。辺り構わずアザラシの様に寝っ転がる。覗き。盗難。家族の放置プレイ。ゴミ問題。等々……。
 繰り返される仁義なき戦いの日々にスタッフの心は折られていく。蛮行を数え上げればキリが無く、腹を抱えて笑ってしまう様なモノまで有る事に驚いてしまいます。なかでも、どこぞの逃亡劇か? と思わせるような忘れ物まで有るとは、更に驚きです。彼らは一体、何がしたいのか?——。

 兎に角、本作では温泉施設で働く作者様の悲痛なる訴えに、思わず笑うと共に、うーんと唸ってしまいます。無法地帯と化してしまった現場では、果たしてスタッフに安堵する日々はやって来るのでしょうか?

 常識と非常識の線引きが曖昧になっている昨今、今一度自分の常識について考えさせられます。公共の場では正しいマナーを守り、他人に迷惑を掛けないようにしたいものです。

 笑いと苦悩の人間ドラマ。入浴マナーの最低30ヶ条。このエッセイを必読後、心して入浴すべしなり。と思うのです。

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