近すぎて気付かないこともあるのだよ、若者!

年を取ると『老眼』なるものがあってだな。
なぬ? 年寄りの話はつまらんだと?
まあ、聞け。
『老眼』というのは近くがよく見えんのだ。
もちろん遠くも見えんのだが。
簡単に言うとな、ピントがとても狭い範囲でしか合わなくなるのだよ。

幼馴染というのはワシらの『老眼』のようなものでな。
当たり前のようにそこにいて、当たり前のようにほかの人と違う接し方をしとる。
そりゃそうだ、家族のようなもんだからな。
一緒に風呂だって入るし、一緒にゲームだってする。
もちろんお留守番など一緒にするに決まっとる。
だが、他人はそういうことをせんだろう?
そういうところすっ飛ばして、兄弟のようにふるまえるのが幼馴染というやつだ。

ただな。
兄弟にはできなくて、幼馴染にはできることがあるのだよ。
何、わからんだと?
だから最初に言っただろうが、『老眼』のようなもんだと。
ちょっとピントをずらして見てみるんだな。
自分の気持ちに気付くはずだぞ。
さて、年寄りの出番は終わりだ。
あとは若いもん同士でゆっくりとな。

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