優しい人は、その優しさだけでは駄目な時がある。

 誰にでも優しい人は、きっと、誰かにとって時に残酷だ。きっと、優しいだけではなく、強さを持っていることが必要なのだ。そう感じさせてくれる一作。
 主人公は心優しい転校生。東京から転校してきたことで、転校先に馴染めるのか不安だった。そんな主人公と、仲良くなった一人の少女。しかし彼女はクラスでイジメにあっていた。そのことを知らされた主人公は、少女を避けてしまう。
 しかし、決定的なイジメの場面を目撃した主人公は、ささやかながら自分で前に一歩踏み出す。空気を読んで、他人に合わせて、それで平和ならそれでいい。自分が一人になっても、他人に嫌われなければいい。そう思い、常に何かに怯え、イジメも傍観者になろうとした主人公。しかし、ちょっとの勇気が、強さに変わる。その瞬間を、その過程を、リアルに描いた作品だ。

 是非、御一読下さい。

 

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