ダジャレ一つですら無駄でない、見事な構成の短編小説。

いわゆる”ブラック企業”と関わってしまった、お父さんと娘の物語。

恐怖のブラック企業とのやり取りが、なんと作者様の経験に基づく物らしいのですが、見事なユーモアセンスと、小説だからこそできる”構成による巧みな伝え方”により、サスペンスでありながらコメディ、コメディでありながらミステリー、ミステリーでありながらヒューマンドラマ……と言った具合に贅沢極まりない物語に仕上がっています。

辛い経験をもとに物語を作る際、作者の「怒り、憤り、自己正当化」に作品が振り回されて独善的になってしまう事がありますが、この作品はそういった問題点を見事に打破しております。

親子の会話、SNS、ニュース番組等を巧みに利用した見せ方も見事。
この短さで、ここまで綺麗に物語を作りあげる手腕に感服しました。

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