作り込まれたファンタジー世界と軽やかな論理の妙

 魔法を筆頭に「理外の力」がはびこるクリスタ王国。発生する事件に、他者の能力を明文化できる「真実の眼」を持つ王女の探偵が挑むファンタジーミステリー第一作。

 軽やかでいて的確な文章に、するすると読み進めることができました。煩雑になりがちな特殊設定のルールについても簡潔にして十分な説明があり、頭を悩せることもありませんでした。
 
 架空の世界が舞台ですが、「疑わしきは罰する」などその世界ならではの常識が随所に織り込まれており、リアルな感触を伴って物語に入り込むことができました。シリーズもの一作目ということで、王女とその探偵の関係も一つのテーマになっており、この二人のねじれた関係性は個人的に好物でした。今後の発展が楽しみです。

 なにより、読者への挑戦状つきなのがうれしいです。もちろん、解決のための情報はすべてフェアに(しかも分かり易いように)提示されています。そして、解決編の流れるようなロジックもお見事。

 気軽に楽しめて、しかもたっぷりとした読み応えのある一作だと思います。