2

―翌朝。


「ふあぁあ」


「大きな欠伸ですね。マカさん」


「ホント。女子高校生とは思えないわね」


朝の8時。


喫茶店で、キシとヒミカと会っていた。


二人は早速、今朝の7時に連絡を寄越してきた。


キシが情報を掴んだという。


…今日が休みで良かった。


「はい、どうぞ」


キシは雑誌サイズの茶封筒を寄越してきた。


「携帯彼氏のサイトのことを詳しく調べましたら、彼等の仕組みが理論上、分かりました。そのことについて書いています」


「理論上?」


「ボクにはアナタ方のような力は持っていませんので、何とも」


そう言って肩を竦めて見せる。


「そうだな。まっ、ありがたく貰っておく」


私は茶封筒をカバンに突っ込んだ。


「…あんまりありがたなくそうね」


「そうでもないさ。解決の方法を探る手段は、多いにこしたことはない。特に製造方法は知っておきたいところだった」


それを半日もせずに調べ上げるとは…。


…ヒミカはとんでもない男に好かれたものだ。


「話には聞いていたが、優秀な男だな。キシ」


「次期当主にお褒めいただけるなんて、嬉しいですね。一度お会いしたかったんですよ、マカさん」


初対面にも関わらず、何だかはじめて会った気はしない。


「どーせヒミカからは嫌味しか聞いていないだろ?」


「それはボクのことも、でしょう?」


「お前ら…! アタシのことを何だと思ってる!」


「天邪鬼」


「もちろん、ボクの最愛の人ですよ」


「んがー!」


「騒ぐな、周りに迷惑だ」


悶絶しているヒミカを横目に、私はコーヒーを飲んだ。


「う~。目がチカチカするな」


眉間を揉むも、あんまり効果はない。


「徹夜でゲームするもんじゃないな」


「何のゲームをしてたんです?」


「パソコンゲームの神経衰弱。コイツと一緒に」


そう言ってテーブルに置いていた自分のケータイを指さす。


ちなみに今はたたんでいるので、ハズミの姿は見えない。


「おや、そんなことまで出来るんですか?」


「テレビ電話みたいなもんだからな」


「…今はパソコンででも出来ますよ?」


「ああ、そうなのか」


パソコンは機械さえあれば、何だって出来るんだな。


「でも楽しそうで。案外、このままでも良いと思われているのでは?」


「さてな」


こめかみを指で押さえながら、私は答えを濁した。


キシの意見を、すぐには否定出来なかった。


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