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―翌朝。
「ふあぁあ」
「大きな欠伸ですね。マカさん」
「ホント。女子高校生とは思えないわね」
朝の8時。
喫茶店で、キシとヒミカと会っていた。
二人は早速、今朝の7時に連絡を寄越してきた。
キシが情報を掴んだという。
…今日が休みで良かった。
「はい、どうぞ」
キシは雑誌サイズの茶封筒を寄越してきた。
「携帯彼氏のサイトのことを詳しく調べましたら、彼等の仕組みが理論上、分かりました。そのことについて書いています」
「理論上?」
「ボクにはアナタ方のような力は持っていませんので、何とも」
そう言って肩を竦めて見せる。
「そうだな。まっ、ありがたく貰っておく」
私は茶封筒をカバンに突っ込んだ。
「…あんまりありがたなくそうね」
「そうでもないさ。解決の方法を探る手段は、多いにこしたことはない。特に製造方法は知っておきたいところだった」
それを半日もせずに調べ上げるとは…。
…ヒミカはとんでもない男に好かれたものだ。
「話には聞いていたが、優秀な男だな。キシ」
「次期当主にお褒めいただけるなんて、嬉しいですね。一度お会いしたかったんですよ、マカさん」
初対面にも関わらず、何だかはじめて会った気はしない。
「どーせヒミカからは嫌味しか聞いていないだろ?」
「それはボクのことも、でしょう?」
「お前ら…! アタシのことを何だと思ってる!」
「天邪鬼」
「もちろん、ボクの最愛の人ですよ」
「んがー!」
「騒ぐな、周りに迷惑だ」
悶絶しているヒミカを横目に、私はコーヒーを飲んだ。
「う~。目がチカチカするな」
眉間を揉むも、あんまり効果はない。
「徹夜でゲームするもんじゃないな」
「何のゲームをしてたんです?」
「パソコンゲームの神経衰弱。コイツと一緒に」
そう言ってテーブルに置いていた自分のケータイを指さす。
ちなみに今はたたんでいるので、ハズミの姿は見えない。
「おや、そんなことまで出来るんですか?」
「テレビ電話みたいなもんだからな」
「…今はパソコンででも出来ますよ?」
「ああ、そうなのか」
パソコンは機械さえあれば、何だって出来るんだな。
「でも楽しそうで。案外、このままでも良いと思われているのでは?」
「さてな」
こめかみを指で押さえながら、私は答えを濁した。
キシの意見を、すぐには否定出来なかった。
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