付き合う災難
「でもまあ…助かって良かった。まさに危機一髪だったがな」
「良いことしたねぇ。イイ子イイ子」
モモが頭を撫でてくれた。
「しかし…予想以上に向こうの力は強い。私にこんなに疲労させるなんてな」
「消滅させたせいもあるでしょう? マカさん、無茶しすぎ」
「そう言うな、レイラ。あの子を助けただけでは終わらなかったんだからな」
そう、現況を何とかしないことには、解決したとは言えない。
私は深く息を吐いて、テーブルの上のハズミを見た。
『マカ、少しは落ち着いた?』
「まあな。休めば回復する」
多少は…。
「今日は早目に休むか」
起き上がるぐらいには回復出来た。
「あっ、それでは準備を…」
「いや、今夜はハズミと二人にさせてくれないか?」
そう言うと三人は不安そうな顔になる。
「ちょっと話し合いたい。何、終われば声をかける」
「…分かりました」
カエデの了承を得たので、私はケータイを持って、自室へ入った。
『…話しって?』
ハズミの表情は、先程から暗い。
私は座椅子に座り、テーブルにケータイを置いて、ハズミと向かい合う。
「いや、ちょっとな。お前の方が私に聞きたいことがあるんじゃないかと」
ハズミは私から視線を外し、けれど口を動かした。
『マカは自分を普通の人間じゃないって言ってたけど…本当だったんだね』
「ああ。私の血縁者はみな、普通の人間とは言いにくい。姿・形は人間そのものだが、中身は全く違う」
『違うって、どう違うの?』
「詳しくは私も分からん。しかし、普通の人間が持たないような力を持つ。メイドの3人、店で会った5人、他にも私と血縁関係を持つものは、必ず妙な力を持っているものだ」
『マカは気を操るって言ってたけど…』
「ああ、そうだ。万物には気が宿っている。それを操るのが私の力だ。まあ…あまり上手くは使えないがな」
『ふぅん…。でもその力があれば、オレ達を消すことができるんだね』
「…気の質の変化が出来るからな。不可能ではないことを、今日証明したようなものだ」
ハズミの顔色が見る見る悪くなる。
ラブゲージも下がっていく。
「…まあさっきも言ったが、お前から何かしないなら私も動きはしない」
『そう…』
それでもまだ、下がり続ける。
…思えばコイツも不憫だ。
宿ったケータイの持ち主が、私じゃな。
「あっああ、そうだ。ハズミ、ゲームしないか?」
『ゲーム?』
私はテーブルにノートパソコンを置いて、起動させる。
「カードゲームなら、一緒にやれるだろう。神経衰弱はどうだ?」
『でも一人用だろ?』
ケータイ画面をパソコンに向けてやる。
「それでも交互にやれば出来るだろ? スコアを付けるから」
近くにあったメモ帳とペンを手に持つ。
「神経衰弱はキライか?」
反応が返ってこないことを不安に思い、ケータイを覗き込んだ。
『いっいや、オレと何かしようとする人なんて、はじめてで…』
ハズミは戸惑っていた。
「まっ、普通は会話とか接触だけだろうがな。生憎と私の不得意分野だ。こういう方法しか取れなくてスマンな」
『うっううん! オレ、こういうの好きだから』
「よしっ! じゃあ勝負だ!」
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