世界の空を飛ぶ(一人はかなり頻繁に、文字通り)異能・バディアクション!

 本作は、超常の能力を持ってしまった「能力者(アビリティ・ホルダー)」をめぐって、諜報組織が暗躍する世界の物語です。

 主人公の甲斐くんは、物理的・電磁的遮蔽を透過して人間を「色」で認識できる異能の観測者。
 相棒の折賀は、認識した人間へ総体的・局所的に念動力を作用できる制圧狙撃手。
 二人はアメリカ中央情報局の指揮の下、異能者を拉致・テロリストへ斡旋する非合法組織アルサシオンから、不幸にも異能に目覚めてしまった人々を守るべく、世界中を駆け回ります。

 緻密に描写された世界各国の情勢、過去の痛みと未来への渇望を秘めた登場人物たち、異能の発症と組織の因縁がからみ合い、収束していく最終決戦は圧巻です。

 そして、そんな物語をさわやかにまとめ上げる一本の縦糸が、やはり主人公の甲斐くんの人柄です。
 ちょっと似非ハーレムっぽく可愛がられたりもしますが、基本的にヒロインへ一途な純情を捧げる彼の姿は、時に微笑みを、時に涙と半笑いを誘います。
 皆さんも彼と一緒に、アメリカの、ヨーロッパの、アフリカの、銃弾が飛び交う修羅場をジャージ一丁でキリキリ舞う気分を味わってみてはいかがでしょう!

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