禁煙ファシズムは『違憲』だとさけぼう~信仰の自由としての喫煙

 樺太に入りて/新しき宗教を創めむといふ/友なりしかな

  ――石川啄木『一握の砂』


 慚愧すべきことに、改正健康増進法の施行が七月だとおもっていたら、厳密には『二〇二〇年四月に完全施行』らしく、以後、さらに日本国内各施設の禁煙化がすすむという。

 ひるがえって、僥倖にも、我が友JT社は今年一〇月の煙草税値上げにあたって、『わかば』や『エコー』などを葉巻扱いにすることで、価格据え置きになさってくれた。愚生は『わかば・シガー』を愛煙している。

 閑話休題。いままでも、本篇では世界各国、なかんずく、日本国内での禁煙活動をファシズムやナチズムの亜種として揶揄してきた。が、このままでは、饒談ではなく、最悪の場合、亜米利加における禁酒法の前轍をふみかねないのではないかと危惧せざるをえなくなってきた。いわずもがなだが、禁酒法時代の亜米利加では、違法な酒の売買によってマフィアが陶朱猗頓之富を隴断し、治安が悪化した。日本では、禁酒法ならぬ『禁煙法』などは発布されないだろう。が、徴兵制を敷かないかわりに経済的徴兵制を実施している亜米利加のように、『経済的禁煙法』畢竟『煙草の値段をあげまくって物理的に購入できなくする』ような悪政はなされないともかぎらない。

 元来、日本は独裁国家である。曩時より批判されているように、政府の方針は実質上、旧事務次官等会議である次官連絡会議に籠絡されている。曩時、ネット上でも有名になったが、一時期は三五兆円の税収のうち二〇兆円が公務員の給料にわりあてられ、さらに、二〇兆円已上が官僚たちの天下り資金となっていた。無論、我々愛煙家の血税もノーパンしゃぶしゃぶなどに蕩尽されてきたのだ。此処では、愛煙家全員にむけて揮毫しているので、政党別に偏頗したことは書かないつもりだ。が、ともかく、山川出版の政治経済の教科書にもきちんと縷述されているように、戦後日本は大政翼賛会から官僚制度へと鞍替えした独裁国家にほかならない。そのうえで、健康増進法や禁煙推進政策、優生学的思考の瀰漫した日本はやはり国家社会主義労働者党的といわざるをえない。

 そこでである。

 愚生はいいことをおもいついた。

 日本国憲法第二〇条では『信教の自由、国の宗教活動の禁止 ①信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。②何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。③国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。』(『ポケット六法』およびWikipedia参照)とされている。安土桃山時代における仏教弾圧、江戸時代における基督教弾圧などを反省して、日本では『信仰の自由は最高法規によりまもられて』いるのである。某暴力的新興宗教の後継組織が政治権力によって解体すらできないのだから、この条項はたしかに機能している。

 ゆゑに、である。

 萬壱、『禁煙法』発布などという暴挙がなされた場合、愚生は、『日本煙草教』なる『宗教』を樹立して、『信仰の自由を理由に煙草を吸いつづける』という着想をえた。実際には、宗教法人格の獲得など、むずかしいところもあるだろうが、まあ、いまのところはおもいつきのレベルでよい。政府が『禁煙法』などを発令したら、『憲法二〇条第一項違反』として大法廷にうったえるのである。『我々は宗教上、煙草を吸わなければならないので「禁煙法」は違憲である』ということだ。

『日本煙草教』はだれでも這入れる。仏教徒でも基督教徒でも、神を信じていても信じていなくても、回教徒で煙草を吸えないというような矛盾が生じないかぎり這入れる。名前がださいので、いつか、ほかの候補をかんがえるつもりだ。そもそも、教祖さえ存在しない。信者の全員が教祖であり、信者でもある。いかなる差別も存在しない。教義はただひとつ。『十誡』ならぬ『一誡』。『なんじ、すきなだけ煙草をすうべし』である。禁煙したくなったら自由に脱会できる。換言すれば、煙草を吸うことが教義なので、煙草を吸わなければ異端とされる。無論、『禁煙法』などは『一誡』に悖るので違憲である。政府よ。これならば喫煙が違法になるどころか、禁煙活動のほうが違法になるのである。

 今回はながくなってしまったが、どうだろうか。

 悪法も法。ならばこちらも法を味方につけてたたかうのである。

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